樋口明雄『ブロッケンの悪魔―南アルプス山岳救助隊K‐9』ハルキ文庫。
シリーズ第3作。前2作は徳間文庫だったが、今回はハルキ文庫からの刊行。前2作も非常に面白い警察山岳冒険小説だったが、本作に描かれる事件はさらにスケールアップし、面白さが倍増している。
南アルプス北岳に至る三つの林道で崩落事故が発生、一帯は陸の孤島になる。その頃、内閣危機管理センターに集まる閣僚たちの元へ自衛隊施設からVXガスが盗まれたと報告がもたらされる。北岳山荘に立て籠り、VXガスを使い、政府を脅すテロリストたちの目的は…
テロリストに立ち向かう南アルプス山岳救助隊の星野夏実、神埼静菜らの運命は…
樋口明雄が描く山岳小説は兎に角面白い。自然を愛するがゆえなのか山の描写から心に強く伝わって来るものがある。初期の『狼は瞑らない』『光の山脈』『男たちの十字架』も素晴らしい山岳小説であり、日本冒険小説協会大賞を受賞した『約束の地』も素晴らしいが、この作品も一連の作品に勝るとも劣らない傑作である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本
- 感想投稿日 : 2017年8月1日
- 読了日 : 2017年8月1日
- 本棚登録日 : 2017年7月30日
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