投げかけられた原因が、すべて然るべき結果に収まっていくことで、物語には美しい円環が生まれる。一方この小説で描き出される円環は、フリーハンドかつ目隠しで描かれたようにワイルドだ。とてもエリクソンらしい。円の始点と終点はすれ違い、それ故に無限の世界線が流入する。読者は因果論を離れ、奇妙な出来事の反復(自動車事故、暴漢に襲われる、大統領選の熱狂…)からマインドマップを作り出す。小説と小説内小説のらせん構造はとても複雑だけど、そこはいつもの猛烈な書きっぷりに身を任せ、読者はただ「感じ」ればいい。
いつも以上にゴツゴツしてるし、多少予備知識も必要とするのでまぁ読みにくかったけど、やっぱりこの圧倒的に押し流されていく感じはエリクソン以外では味わえないところがある。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年3月7日
- 読了日 : 2021年3月7日
- 本棚登録日 : 2019年6月13日
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