日本を代表するロック評論雑誌、「ロッキンオン」の創設者であり、評論家である渋谷陽一の、80年代後半から90年代前半のレビュー集。
「産業ロック」という当意即妙の言葉を創りながらも、「ポップミュージックであることが何が悪い!」と主張し、ロック少年と出版社経営者の狭間で、悪態と冷笑を思い出したようにばら撒く。
一見矛盾とも取れるその言動は、「どんな事にだってひとつ位はいいこともあるし、理由もあるよ」的な、ネットが当たり前になった時代特有の多元主義と同調圧力の中で、心ある(心などない奴も)ミュージシャンが、「自分達がイイと思える音楽を創りたい」と、自らマスに背を向ける態度を取らざるを得ない、2000年代最初の10年を経て読むと、かなり新鮮だ。
気にいらないものは気にいらねえ!
時折吐く、渋谷の悪態はきっと間違っていない気がする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
Rock
- 感想投稿日 : 2010年5月10日
- 読了日 : 2010年5月10日
- 本棚登録日 : 2010年5月10日
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