侍 (新潮文庫)

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本棚登録 : 829
レビュー : 98
著者 :
かいばしらさん  未設定  読み終わった 

「沈黙」のテーマ「神の存在の有無」に対し「侍」は「宗教とは何か」という問いかけの小説だと思います。

キリスト教のお話でありながら、日本の宗教観についても描かれていて、「なぜキリスト教は日本に向かないのか」をヴァレンテ神父が語る場面は、深く頷きながら読みました。ヴァレンテ神父の語った日本の宗教観や社会構造は現代日本に脈々と受け継がれているものがあるのを感じました。

また、江戸時代の日本社会の陰湿な部分を、政府上層部や役人の描き方や、暗く冷たい建物の描写で表してるところがすごく印象に残りました。

でも正直読みながらずっと思ってたのは「ベラスコのせいでこんな事に…!!」ということです。こいつさえいなければ…!!そして、やはり宗教の押し付けは古今東西良いことがない。
ただし、最終的には実はベラスコは自らの信仰と布教において勝利しているところがまたこの小説のすごいところです。
「侍」は最期、何を、誰を思ったのでしょうか…
残酷な現実と絶望の向こう側に真理が少しだけ見えるような描き方が素晴らしかったです。

神とは、宗教とは、日本とは…考えさせられる一冊です。

レビュー投稿日
2019年4月30日
読了日
2019年4月30日
本棚登録日
2019年4月30日
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