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著者 :
  • 文藝春秋 (2012年10月26日発売)
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Audible読了
濃霧のように重たい雰囲気。しかし不思議とクセになる作品だった。何気なく映画のキャストを見てしまってからは、佐藤浩一の顔芸が付きまとった。適役。
内容は、マスコミvs県警という構図で、匿名報道の是非が繰り返し問われる。

──匿名が覆い隠したのは(加害者の)菊西華子と言う名ではなく、(死亡した被害者の)銘川亮二と言う人間がこの世に生きた証であった
確かにA子B男では誰も気に留めない。名というものが放つ人間の尊厳を考えさせられる。

それを覆うようにして幾つもの対立が物語を深める。警視庁vs県警、刑事部(元部署)vs警務部、キャリア組、元上司、元同僚、わらわらと出てくる存在感たくましい登場人物の綱引きが常時テンションを張っていて、主人公はまんなかで右往左往。肝心の事件は下巻までまったく進まない(笑)
加えて行方不明の娘と不安定な妻がセコンドにびったり張り付き、もはや『サイレントヒル※』のような五里霧中感。
※KONAMIのホラーゲーム 街全体を霧が覆ってどこから敵が飛び出すか分からない

ほかにも気になった点は、主人公が何度も本音を押し殺すところ。しかも言う寸前で。もう言ってくれよ、と叫びたくなる。「本音イコール自己愛」という作者の厳しい主張がヤワなハートに刺さった。
これは映画もチェックしてみよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年9月19日
読了日 : 2023年9月19日
本棚登録日 : 2023年7月25日

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