沈黙 (新潮文庫)

3.97
  • (1220)
  • (965)
  • (1172)
  • (60)
  • (11)
本棚登録 : 8204
レビュー : 1022
著者 :
ところてんさん  未設定  読み終わった 

遠藤周作著、「沈黙」。非常にドラスティックな作品であった。佐伯氏の解説によれば、遠藤周作は「海と毒薬」、「侍」などの他の作品においても、同様にドラスティックな作風だとされる。
「沈黙」は、江戸時代のキリスト教禁教下の日本を舞台として、宣教師や司祭が日本に布教を行うという物語である。もちろん禁教下であるので、布教が見つかれば罰せられ酷な拷問を受けるのであるが、それでもキリスト教を布教する使命を全うするため、危険を冒して日本に潜入する。本作は3部作になっており、まえがきで宣教師が棄教したという衝撃的な事実を述べ、続いてセバスチャン・ロドリゴの書簡で主人公の視点に読者を誘導し、最後に三人称描写の章がやってきて、棄教に至るプロセスを少しずつ進めて書いている。主人公の司祭が見た日本は、宣教師を希望の光として求める百姓達、「転ぶ」、すなわち棄教した宣教師、そして無害かつ有害な、意思の弱さを前面に押し出したキチジローという存在、さらにイノウエという、幕府の非常に賢い奉行など、様々な者が登場する。
彼らをすべて丁寧に整理して描写したところは素晴らしいが、それよりも素晴らしいのが、描写の仕方である。表現がリアリティを感じさせ、緊張を生むために読者を感情移入させやすくなっている。特に残酷で緊迫した場面においてそれは顕著であり、追い詰められた人間の感情を事細かに描写している。
読む価値のある、とても優れた作品である。

レビュー投稿日
2018年11月28日
読了日
2018年11月28日
本棚登録日
2018年11月28日
4
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『沈黙 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『沈黙 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

いいね!してくれた人

ツイートする