読んだことないので、おじさんが20代女性視点の恋愛小説ってどうかなと思いましたが、読んだらすごく面白く、とてもよかったです。おじさんにも、おすすめします。
解説の綿矢りささんも書かれていますが、主人公の女性たち、優しいし、どことなくサバサバした感じがして、どんな状況でも前向きです。その姿に癒されたり、励まされたりしました。
田辺聖子さんの女性の心情表現については、よく分かりませんでしたが、読み始めると少し粘っこい文章だなと思いました。それもすぐに慣れ、スイスイ読めます。
時代は昭和です。TVドラマの『不適切・・・』の昭和時代よりももうちょっと昔です。そのため、本の最後に編集部から「・・・今日の観点からみると差別的ととられかねない表現が散見・・・原文どおりとしました。」みたいな説明がつけられたりして。
昭和を知らない世代には、女性を取り巻く社会情勢に違和感を感じるかもしれません。
それでも私は、昭和感は薄いと思いました。それは、田辺聖子さんの表現が、「遠くから見て楽しんだ」とか「匂いをかいだ」みたいな主人公の行動や、その時の気持ちなんかが中心だからかな、と思いました。まあ、自分も昭和ですしね。
この本は、原田ひ香さんの『図書館のお夜食』で田辺聖子さんのレシピが紹介されたり、覆面作家さんのお宅に全集があったりしたことから選びました。
覆面作家さんの洗面所で『田辺聖子全集』が見つかったことに、とても違和感を感じていましたが、もしかしたら覆面作家さんは、お風呂なんかで田辺聖子さんの作品を読みながら孤独を癒し、生きる勇気をもらっていたのかもしれませんね。
- 感想投稿日 : 2024年3月18日
- 読了日 : 2024年3月17日
- 本棚登録日 : 2024年3月10日
みんなの感想をみる