さばの缶づめ、宇宙へいく 鯖街道を宇宙へつなげた高校生たち

  • イースト・プレス (2022年1月18日発売)
4.12
  • (47)
  • (35)
  • (21)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 558
感想 : 66
5

 中学生の頃の自分に伝えたい。人生は一度きりだよね。だったら試してみてもいいんじゃないかな。今、将来を迷っているんだったら、どのみち高校普通科でも迷うよ。だったら、職業系高校で試してから大学を選んだらいいじゃない。
 この本読んだ今の自分なら、絶対そうする。その方が、忙しいかもしれないけど、楽しそうと。
 本書が図書館の「ティーンズ」コナーにあったので、つい、こんな感想がでてきます。

 著者の一人、小坂康之先生が東京水産大学を卒業し、福井県の小浜水産高校に赴任したところから物語は始まります。
 本のタイトルのようにサバ缶が宇宙に行って、盛り上がりもありますが、だいたい地道です。

 まず、小坂先生は新卒教員なので授業のスキルアップに取り組みます。
 そして食品加工の教員として、小浜水産高校伝統のサバ缶工場の、食品安全の「HACCP認証」取得を目指します。
 金属検出機が買えなくても、サバを切る包丁の刃こぼれ危害を防ぐため、10分ごとに包丁を点検して記録を残します。素晴らしい教育です。感動で涙がでました。
 今は金属検出機はあるそうですが、10分ごとの点検はあえて残しているそうです。こうして、生徒さんたちは、HACCPの本質を体得されるんですね。

 そして、小浜水産高校の統合問題を、小坂先生は他の先生方と、そして、地域の方々と共に乗り越えていきます。何でも統合するのは大変ですよね、みなさんがんばりました!

 そこから小坂先生は、探究学習を究めていきます。学校は全国1位にも選ばれています。
 探究学習では、最初の課題設定に力を入れているそうです。生徒さんたちの、好きなこと探しに時間をかけます。これは以前読んだ『リサーチのはじめかた』と同じだ。

 小坂先生はじめ先生方の考え方は、生徒さんの成長が第一ですね。宇宙日本食サバ缶は学習課題の1つであり、学習を深めていった先の、当然の帰結であることがよくわかりました。

 宇宙日本食サバ缶について、ぜひ本書を読んでみてください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年4月28日
読了日 : 2024年4月27日
本棚登録日 : 2024年4月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする