いつもは素晴らし絵のついた旅行記で見せてくれるかっぱさん。
話題になっていたのは知っていたけれど、なんとなく敬遠していたけど、借りてみたら、やっぱり造り物より実際に体験した方の戦争のお話しはすごいと思った。
辛かっただろうに、どこか胃がいたくなるような書き方はせず、読みやすい。
私たちみたいに、戦争を体験していない世代は、是非読むべき一冊だと思う。
妹尾さんは、幕の内かなんかで、その自由奔放ぶりにショックをうけたんだけど、その臨機応変ぶりの基本を見た気がした。
神戸在住の方は読んで、真に迫るものがあると思う。
確かに、彼の母親にはイライラする時がある。
私も結構きれいごとを言いがちなので、気をつけなければならないと思った。
父親は賢いヒトである。
それに当時の大人の戦争中は正直に言えなかったけどという本音や、戦争中と後の態度がころっと変わるヒトの存在など、リアル感がすごいと思った。
上巻での父親の生田川埋立の自然に対する人間の暴挙に対してのコメントのシーンは、わたしには印象的。
下巻では、母親にいら立つ少年Hにわかめのようにしなやかに生きろとアドバイスをする友達も、今の戦争を体験していない同世代ができるアドバイスではないと思った。
また、戦後に看板屋で文字の修行をしたというのが興味深かった。
それに、オペラの舞台芸術家のデビューのきっかけとなる藤原さんのアリアとであったのも戦争中であったとか。
神戸出身者とかっぱさんファンで他の本も読んでいる人には、楽しめる伏線が効いている。
元から、かっぱさんの文字は読みやすいと思っていたので、スティーブ
ジョブスの講演の「点が線になる」、おそらく無駄な体験は何もないの一例であると思った。
私も、辛い時でも頑張りたいと思った。
- 感想投稿日 : 2014年1月23日
- 読了日 : 2014年1月23日
- 本棚登録日 : 2014年1月23日
みんなの感想をみる