相変わらずの美しいロジック、と思いきや、なんとその強固に見えたロジックがいとも簡単に崩れていく...そんな体験が2度もできる作品。
そこに物語としての面白さも加わっている。
二転三転する展開、現れる新たなロジック、そしてそれを否定するさらなるロジック。
凄まじいボリュームではあるが、長さを気にせずにノンストップで読み切れる。
後期クイーン問題の片鱗も見えており、クイーンが更なるステージへと進んだことが実感できる作品。
↓↓↓↓以下、使われているロジックの記録↓↓↓
まず、犯人の一つ目の偽装。
使われたカップの個数とポットの水の量の矛盾や身元を隠して訪れた男は目が見えていたこと、ハルキスが最初につけていたネクタイは緑だったはずだということなどから「ハルキスは殺されたとき目が見えていた」という事実を導き、エラリーは犯人を特定。(したつもり)
しかし実はデニーは赤緑色盲(クイーンの誤解はあるが)だったため、ハルキスは元々赤いネクタイをつけており、訪れた男はノックス。
加えて、この偽装をした犯人は「ノックスが名乗り出るはずがない」ことを知っていた、つまりグリムショーの相棒であると分かる。
二つ目はスローンへの偽装、そして三つ目にノックスへの偽装。
ノックス邸の特殊なタイプライター(ここの伏線も見事)を使用して脅迫状を送る。
エラリーは"あえて共犯という可能性を除いた"犯人の三つの条件から犯人をノックスだと宣言。
しかし、ノックスが犯人ならグリムショーの時計の中の札を抜いたはず。
では真犯人はというと、まず、1000ドル札の話を聞いていたジョーンではない。
そして犯人が"2通目のみ"ノックス邸のタイプライターを利用したという事実から共犯の否定ができ、そして"2通目のときのみ"ノックス邸のタイプライターを使えた人物ということから犯人はペッピーだと分かる。
- 感想投稿日 : 2021年9月13日
- 読了日 : 2021年9月12日
- 本棚登録日 : 2021年9月12日
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