車輪の下 (集英社文庫 ヘ 5-1)

  • 集英社 (1992年1月17日発売)
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ヘルマンヘッセによる
教育について批判的に捉えた小説。

主人公ハンス・ギーベンラートは、
頭がいいことで街でも有名な少年。

学業面において、ハンスに肩を並べられるものはおらず
ハンス自身も勉強をして知識を蓄えることに喜びを感じていた。
そんな秀才は、州の神学校に合格し、将来も保証され
安定な人生のレールを踏んで行く。

親、教師、町全体の期待を一身に受け
全てを勉強に捧げ、結果を残し続けるハンスは
優秀な生徒が集まる神学校でも
頭角を表し、一躍注目を浴びる。

しかし常に孤独に勉学に向き合ってきたハンスに
一人の友人ができたところから、
ハンスの人生は大きく動き出す話。

「へたばらないようにするんだよ、さもないと車輪の下に圧し潰されてしまうよ」
常に勉強し、社会の歯車から外れないように、
努力し続けることこそ、正だと考える社会に
ハンスがどのように向き合うかが注目となる。

【学んだこと】
結論から言うと、ハンスは決して恵まれない。
ただその原因を考えることが重要である。
大人が教育を押し付けたから?でもそれは立派な大人になるために必要なこと。
加えて、ハンス自身勉強は好きであった。
私は、多くの選択肢をハンスに与えるべきだったと考える。
勉強は重要で大切だが、それができないから見捨てることは子供のためにならない。
勉強以外の、友情や愛情や自然の豊かさなど感受性を高める機会をもっと与えられたら、
ハンスの人生はもっと豊かになったのではないかと思う。

それは各人の人生にも同じことが言える。
仕事や受験で結果を残さなければ、
誰かの期待に応えられる何かにならなければと
自分を殺して必死になることがある。
でも本当に大切なことって、
その周辺にあるのではないかと思う。
追い詰められた時こそ、支えてくれる人や大切な人に真摯に向き合うことで、少しリラックスできるのかなと思う。
ハンスは追い詰められていくことが多すぎたのではなかろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年1月19日
読了日 : 2020年1月19日
本棚登録日 : 2020年1月19日

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