村田沙耶香さん2作目です。
『殺人出産』に比べると、平和でどこかにありそうな設定だと感じていましたが、後半の方の編はかなりぶっ飛んだ設定でした。
特に最終編の「変容」はゾッとしました。感情がトレンド化されていて、「怒り」の感情を持たないのがスタンダードになったという設定です。
怒りっぽい、何にでも怒るのは嫌ですし、優しく寛容でありたいとは思いますが、ムッとしたりイラついたりすること自体が時代遅れになるのは、さすがに怖いです。
「流行りの感情」というフレーズも出てきて、気味が悪く感じる一方、時代錯誤な態度とされるものは実際にあるしな、とザワザワした気分になりました。
他の編は割とスカッとする終わり方で、価値観に向き合う村田ワールドの姿勢を崩さずに、楽しく読み終えられました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2023年7月31日
- 読了日 : 2023年7月31日
- 本棚登録日 : 2023年7月31日
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