
これはリアル‘ぼうけんのしょ’だ。
‘本’という‘武器’を手にし、難攻不落に思えた‘他人’とつながり、人として1upも2upもしていく様をヒヤヒヤ、ハラハラ、そしてワクワクドキドキしながら読んだ。
ヒヤヒヤ、ハラハラしたのは著者の花田さんが思い込んだら一途というか、変な方向に生真面目なところがあるから。
『出会い系で人と会ってその人に合う本をおすすめしまくる』...って思考がぶっ飛んでいる。
なんとなく佐藤多佳子さんの『しゃべれどもしゃべれども』を思い出した。口下手で不器用な人々が若き落語家の元に落語を学びに来る、というストーリー。「なんで?落語学んでもおしゃべりは上手くなんないような」という読者と先生になる若き落語家の戸惑い。でも彼らのどこか切羽詰まった真剣さに心打たれていつしか応援するようになっていく。
花田さんも終始危なっかしい。なので目が離せなくなるのです。
ワクワク、ドキドキしたのは、もしかしたら一歩踏み出せばそこに『私にも』違う世界が拡がっているのかもしれない、と思わせてくれるから。ネットの向こうに、街並みの書き割りだと思っていた風景に、あるいは憧れの店のレジの内側に。ああ、世界って広い。人って面白い!
目の前がぱあっと拡がっていく感じ。
彼女の体験を‘読む’ことで読んでいる『私にも』力がわいてくる。能町みね子さんが帯に『強烈な自己啓発本』と書かれているのにも納得。...だからって真似をするわけではありませんが。
...そうだよね。全部自分で決めていいんだね。人生も、幸せも。どう見られるか、どう思われるかなんて、そんな『評価』は他人に任しておけ。...そう強く思いました。
タイトルがちょっとでも引っ掛かる方は是非是非ご一読を。
- レビュー投稿日
- 2018年5月31日
- 読了日
- 2018年5月31日
- 本棚登録日
- 2018年5月31日
『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』のレビューへのコメント
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