絶望図書館: 立ち直れそうもないとき、心に寄り添ってくれる12の物語 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2017年11月9日発売)
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他のブクログユーザーさんがレビューを書いてくださりこの本の存在を知りました。
『絶望名人カフカの人生論』の編訳者の頭木広樹さんが『絶望したときその心に寄り添ってくれるような物語』を集めたアンソロジー。

絶望の種類によって章が分かれていて「人がこわい」「運命が受け入れられない」「家族に耐えられない」「よるべなくてせつない」の4章、古今東西の12編の短編が収められている。

どれも誰もが覚えのある「絶望」だと思う。
ただ、「絶望」って人によって姿形が違うと思うので、誰にでもフィットする気がしない。
私には「寄り添ってくれる」ほどの近しい関係になれるような物語はなかったけど、読んでる間は軽い胃痛を忘れるほどには面白かった(笑)

三田村信行さんの『おとうさんがいっぱい』
大昔、オカルト本読んで、ドッペルゲンガーが一番怖かったことを思い出した。ラストはちょっと涙目。

筒井康隆さんの『最悪の接触』
恐怖と可笑しみ、でもやっぱり恐怖。
なに考えてンだかまるっきり分からない‘他者’と一緒に暮らしたら?
皮肉っぽいなー。ラスト一行に笑った。

山田太一さんの『車中のバナナ』
短いエッセイだが心に残る。
このエッセイの言っていることが分からない人にはならないようにしたい。

川端康成さんの『心中』
うわーすごい、たった三ページでこれだけの世界が書けるとは!ショートショートの神様、星新一さんも「何べん生まれ変わったってこれだけは書けない」と書かれていたとか。

最後に収められているのは手塚治虫さんの漫画『ブラックジャック/ハッスルピノコ』
懐かしのブラックジャック、ピノコが切な辛い。

あと気になっていたシャーリイ・ジャクスンも読めて良かった。

最後にカフカの言葉が載せられている。

本には、悲しんでいる人を助けるつもりなんかちっともないとしても、本を読んでいる間はぼくは本にしっかりすがりついていられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: アンソロジー
感想投稿日 : 2017年12月25日
読了日 : 2017年12月24日
本棚登録日 : 2017年11月10日

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