‘えーえんとくちからえーえんとくちから永遠解く力をください’
ああこれ絶対好きなヤツ。
好きすぎて泣くヤツだ、と思いながら読んだ。
案の定うるる、ときてしまった。
2009年、26歳で惜しまれつつ亡くなった歌人、笹井宏之さんのベスト歌集を没後10年を機に未発表原稿を加えて文庫化したもの。
文庫版には黄色い紙が入っていて、そこには漫画『ダルちゃん』の作者はるな檸檬さんのエッセイが載っている。
何と、『ダルちゃん』の重要なシーンに使われている本がこの作品集のハードカバー版だそうだ。
‘「はなびら」と点字をなぞる ああ、これは桜の可能性が大きい’
‘拾ったら手紙のようで開いたらあなたのようでもう見れません’
‘このケーキ、ベルリンの壁入ってる?(うんスポンジに少し)にし?(うん)’
‘ひまわりの死んでいるのを抱きおこす 季節をひとつ弔うように’
‘五月某日、ト音記号のなりをしてあなたにほどかれにゆきました’
‘人類がティッシュの箱をおりたたむ そこには愛がありましたとさ’
どこが好きなのか、と問われたら「とにかく優しくてほんのりあたたかく、茶目っ気と真剣さが程よい具合で混じり合ってるトコが好き」と答える。
読んでいる間は笹井さんに恋い焦がれているといっても過言ではない。そこにいるひとのように。
もう10年も前に亡くなったひとなのに。
‘別段、死んでからも遅くないことのひとつをあなたが為した’
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短歌
- 感想投稿日 : 2019年11月10日
- 読了日 : 2019年11月10日
- 本棚登録日 : 2019年11月3日
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コメント 2件
やまさんのコメント
2019/11/12
5552さんのコメント
2019/11/12