NHK学園短歌講座専任講師も勤められている藤島秀憲さんの第三歌集。
平成25年(2013)から令和元年(2019)までの6年間を収めてある。
ときにシリアスに、ときにシニカルに、自らの人生を歌に詠んでらっしゃると思う。
ときおり亡くなった「ちちはは」のことが詠われている。
「ちちはは」は亡くなってからも子に影響をあたえる存在なのだな、と、父母を亡くしたことのない私には感じる。
55歳で結婚されるのだが、歌がもう、弾けんばかりに嬉しさがこもっていて、こちらまで照れた。
藤島さんの縁ある土地らしく、能登を詠んだ連作『窓』も載っている。
[能登に来て海の不思議を語りだす来春は我が妻になる君]『窓』
[「あの場所」で君に伝わるあの場所に行こうよ花を浴びに行こうよ]『声』
[匂いから金木犀は咲きにけり父いて母いてわれもいた日々]『空』
老いゆく父母を時系列に詠んだ連作『父さんでしたか』もいい。
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- 感想投稿日 : 2024年1月13日
- 読了日 : 2024年1月13日
- 本棚登録日 : 2024年1月13日
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