悪友

著者 :
  • 書肆侃侃房 (2020年8月5日発売)
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本棚登録 : 173
感想 : 7
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「悪友」とはどんな関係だろうか。
新明解国語辞典くんによると、
‘’相手を悪い方に誘い込む、好ましくない友達。(反語的に、親友を指すこともある)←→良友‘’
と説明されている。
「そうだ、作ろう」と思って作れるものではないだろう。
どうしても、そうなってしまった、というようなある種くされ縁的なもの。
それは、意識的に作る恋人よりも、エロい気がする。(個人の意見です)

[イヤホンを耳から抜いて葉桜の下でちいさく名前を呼んだ]『悪友』

この歌は一読してそのエロさに慄いた。
私が女子中学生だったら、「えろい、えろい」とクラス中の同級生に推しまくって、めっちゃウザがられたい。

[欲しがってくださいあらゆる避雷針抜けて轟くような祝いを]『猫はどこに行く』

この歌には胸を突かれて泣きそうになった。
ああ、欲しがってもいいんだ、と、欲しがることを許された気がした。

他にも、

[機内食のプリンの完成度の高さ 高尚でもなくても生きようよ]『いつかの冬』

「束の間の寿命がのびる 有線にあなたが諳んじた春の歌」『飛び級』

[もたれていたガードレールの粉はらい白夜みたいに笑ってくれた]『はためく』

[洪水のあとの世界で鳥であるきみに摘まれるオリーブがいい]『はためく』

[そうか、紙吹雪のなかに宝くじあなたが混ぜてくれたのだった]『20ゼーロを賭けて 漫画・アニメ‘血界戦線’より』

[雨後にある歩道橋へと陽が射してあれは夏の門ともみえて]『はためく』

[降車してすぐに電話をくれたってわかるよ 生きることが私信だ]『悪友』

[アクションを観る才能がない同士わからないとき笑ってしまう]『生前』

好きな歌が多くて選びきれない。
榊原さんはオタクを自称していて、この歌集にも推しに捧げる短歌“推し短歌”が何連作か選ばれている。
その名も『推し短歌入門』というタイトルの短歌入門書も今秋出版。

すうっと軸が通ったガラスペンのような繊細さとうつくしさ。
それでいてオトコマエな歌集だと思った。

印象的な装画はハタ屋さんという方。
腕のスジと顎から首のラインがいい。




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感想投稿日 : 2023年11月3日
本棚登録日 : 2023年10月31日

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コメント 4件

まことさんのコメント
2023/11/04

5552さん、こんにちは♪

私、今『推し短歌入門』読み始めたのですが、この方の短歌、さっぱりわからなくて、レビューはできないかもって思っています。
5552さんは、泣きそうになられるほど、深く理解されていて、凄いと思いました。
私は根本的に、短歌が何か分かってないのかもしれないなあ。
と思います。
今、並読している、俵万智さんは、わかりやすいな、とは思うんですけど。

5552さんのコメント
2023/11/04

まことさん、こんばんは!

榊原さんの短歌、分かりやすくはないですよね。
私の解釈も合っているのかどうか…。
もしかしたら、御本人がレビューを読んで「全然違ーう!」と思っている可能性も高いです。
短歌って、詠み手と読み手の相性もありますよね。
私は、榊原さんの歌は「理解してるとは言い難いけど、好き」だなと感じます。
俵万智さんは、前にも書いたかもしれませんが、自分で歌を作ってみるとその凄さがよく分かります。
平易かつ自然な日本語で三十一音に収めながら、読者に豊かなイメージを与える歌って、そう簡単に出来ないですよね。

まことさんのコメント
2023/11/17

5552さん、こんばんは♪

突然ですが、『NHK短歌12月号』佳作掲載、おめでとうございます!
私、定期購読しているので、今日届きました。
岡野大嗣さんに、(たぶん)自由詠が選ばれていました。
どこに、コメントしようか、(しないでおくか)考えたのですが、おめでたいので、コメントさせてもらいました。自分で、見たいからやめてほしい時はおっしゃってくださいね。m(_ _)m
5552さんの、優しい気持ちから生まれた歌なんじゃないかと思います。
私は、先月分から、投稿をはじめたのですが、後から考えると、とんちんかんな歌を送っているので、まず、今回もダメだろうと、最初から思っていたので、特に落ち込みはなかったです。
でも、以前、おっしゃっていただいたように、5552さんと、一緒に載せてもらうのが夢です。

5552さんのレビューも、楽しみにしています。
そちらにも、あらためてお祝いにいきますね!

私も、読んだら発売日前にレビューしてしまうかもしれませんが。

5552さんのコメント
2023/11/18

まことさん、おはようございます!

ええっ、岡野大嗣さんに選ばれていたのですか!
びっくり。
実は今『推し短歌入門』をちょっとずつ読んでいて、「自分、短歌の基本のきの字も知らなかった…」と、自信をなくしていたので、嬉しい驚きです。
なので昨夜、まことさんにコメントを頂いてから、ふわふわと落ち着かない気持ちでした。今はもう落ち着いたのでお返事書かせてもらってます。
教えていただきありがとうございます!
たしか、岡野さんには4首送ったので、どれが選ばれているのか楽しみです♪
でも、定期購読って発売日の結構前に届くんですね。
購読を検討しようかな。

ある歌人が、ネットで、「歌を読んで詠んでいると先に目が肥える。だから自分の歌が稚拙に見える。」と、書かれていました。(前にも書きましたかね。)きっと、成長してるってことですよね。
まことさんの歌が掲載される日を楽しみにしています!

もしも私の歌がまた掲載されていたら教えてくださいね。
コメント書いていたらまた嬉しさが蘇ってきました。

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