農薬や殺虫剤による環境破壊を指摘し、のちの環境保護思想に大きな影響を与えた歴史的一冊。『三体』をきっかけに購入して以来積読になっていたものの、昭和の公害を学ぶに当たって、1962年出版当時の空気感を把握しておいた方が良いと思い読んだ。化学物質の増幅効果や複合暴露の影響などを指摘した内容は高校時代の生物学の授業で一通り学んでおり真新しさは感じなかったが、著者のような人々が戦ってくれたからこその恩恵だと思うと感慨深い。元々連載だったからか内容の繰り返しが多く感じられたのと、害虫防除策として外来の天敵生物を輸入することが矢鱈称揚されている点が気になったが、概して読みやすく、 特に化学物質の生体への作用などを説明した章に知識欲が刺激され細胞生物学の教科書まで買ってしまった。久々に勉強するのが楽しみだ。
先日読んだ『恐るべき緑』でテーマの一つとなっていた戦中にせっせと研究開発した農薬や殺虫剤を、私企業は使いたくて使いたくて、マネタイズしたくてしたくて、ウズウズしてたんだろうなぁと思うくらい『沈黙の春』では無遠慮に散布しまくっていることが窺えて、点と点が繋がるようで面白かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2024
- 感想投稿日 : 2024年6月12日
- 読了日 : 2024年6月12日
- 本棚登録日 : 2024年6月12日
みんなの感想をみる