主人公キャシーは「介護人」として、長年同じ寄宿学校に通い、青春期を共に過ごした友人や初恋の人の看病に勤しむ。病院までの往復、車中で思いを馳せるは懐かしい学校での日々。淡い初恋や、友人とのささいな喧嘩。そして同時に思い出すは穢れに触れるかのように怯えた目をした教師や、一人、また一人と姿を消していった友人達の事。色々あったが、今思い返えばどれもかけがえのない大切な思い出でー。泣けるディストピア小説と言えばコレ。読み進めていく内に、キャシーが懐かしむ「学校」のどこか奇妙なカリキュラムと腑に落ちない校則に、言い知れない気持ち悪さが募る。ただし生徒達に不思議な点は一切なく、恋に振り回されたり、学校内の迷信を馬鹿にしながらも心のどこかで信じてしまう純真な姿は、どこの学校でも見られる普通の光景で。主人公の回想を読み進める内に明かされる学校の謎に驚くと共に、来るべき悲劇に思いが至り、その瞬間から涙を流さずにはいられないだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2014
- 感想投稿日 : 2017年9月9日
- 読了日 : 2014年11月28日
- 本棚登録日 : 2014年11月28日
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