新しい職場であるNGOの先輩に薦められた本。現在のシリア難民の経緯を紐解く一助になる、サイクス=ピコ協定の経緯と詳細、そしてこの協定がいかに現在の中東情勢に影を落としているかを簡単に説明した本。セーブル条約による細かい民族や宗派へのトルコ領の割譲とローザンヌ条約によるトルコ国民主義を反映した国境線の策定を経て現在の中東があるが、情勢不安を抑制する手は果たしてあるのか。協定の話以外にも気になる三文字団体、PKK・PYD・YPG・KNCなどが簡単に説明されており助かった。領土を広げたいロシア、クルド独立を抑制するためシリア情勢を混沌のままにしておきたいトルコ、ISを抑えるために「テロ集団」を支援するアメリカなど、各国の思惑が錯綜する中での難民問題解決は気が遠くなる程難しい事を痛感した。結局害を被るのは一般市民なのに。
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2016
- 感想投稿日 : 2016年12月16日
- 読了日 : 2016年12月15日
- 本棚登録日 : 2016年12月15日
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