ちいさな国で

  • 早川書房 (2017年6月8日発売)
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感想 : 22
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アフリカ諸国の一つにしては小さな国ブルンジ。この本を読むまでどこにあるか正直知らなかった。しかも、あのルワンダ大虐殺と時を共にして、同じようにフツ族とツチ族との紛争により30万人の死者が出たことも。ルワンダ難民の母とフランス人の父との間に生まれた筆者の実体験を元にした小説なのだけれども、その目を瞑りたくなる程の内容はさておき(があるからこそ?)是非主人公と同じく小学生〜中学生に読んでもらいたいと思った。「こちら側」と「あちら側」、「敵」と「味方」の境界線がいつ形成されるのか、主人公の問いかけに考えさせられる。「背が低い」「鼻が潰れている」といったステレオタイプで相手を捉えるようになった時点で圧倒的な壁は出来上がってしまっている気がするが、逆にそういった固定観念を抱かないようにするにはどういった条件が必要なのか…教訓を引き出す必要はないので、是非子供達から意見を聞きたいと思った。それにしてもブルンジのように、たわわに実るマンゴーに、日向ぼっこをするワニとハチドリがいる…そんな極彩色の動植物に恵まれた天国のような地であっても、血塗れの地獄に急変し得るのは、ある意味で絶望的でしかないな…。人間はいつになったら変わるのだろう。それもどう思うか聞いてみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界の本
感想投稿日 : 2019年12月24日
読了日 : 2019年11月18日
本棚登録日 : 2019年11月18日

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