青い脂 (河出文庫)

4.00
  • (6)
  • (6)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 151
レビュー : 10
53さん 2018   読み終わった 

現代ロシア文学のスター、いや、スターと言うよりはモンスターと評される若手作者の長編小説。こーれーはヤバイです。ヤバ過ぎて、何度も挫折しかけてやっとの思いで読み終えました。人生で一番読むのに苦しんだ作品と言っても過言ではないかもしれない。前衛アート?奇怪なスラング、文豪のクローン、エログロスカトロ何でもござれ、極め付けはスターリンとフルシチョフの濃厚な濡場。読むのに並々ならぬ体力が必要です。

你好、私の優しい坊や。やっとお前がくれた書を読み終えた。正直に言おう。一文字目から腐っている。これを書いたのはどこの醜悪な気狂い野郎だ?おかげで私はMバランスを7ポイント失った。マイナス=ポジット。後はただ乾いたカッテージチーズになるしかない。なんてことだ。リプス ・你媽的 ・大便 !

引用という訳ではないのですが、上記のような文体で第1章が開始(『時計じかけのオレンジ』のスラングはまだ解読の余地があったけど、それ以上の難しさ)。近未来、雪に埋もれたシベリアの遺伝子研究所で働く多国籍チーム。彼らはトルストイ4号やナボコフ7号を始めとしたクローンを創り上げ、各個体が執筆活動の後に蓄積する謎の物質「青脂」を集めていた。しかしそれも強奪された後に様々な者の手に渡り、最終的にはタイムマシンで1954年のスターリンに送られる。それを手にした最高指導者は…。

好きか嫌いか問われれば大っ嫌いだけど、まるで卓に置かれた礫死体のように、どうしても視線を外す事ができない作品。クローン達が書き上げたとされる作品群は各文豪の文体模写とソローキンの個性の合わせ技が炸裂。また、その他にも短編として独立した挿話が数多くあり、それぞれスタイルも違い、美術館の展覧会に足を踏み入れたようで大変面白かったです。「水上人文字」と「青い錠剤」が特に好き。鬼才ソローキンが放つ猟奇の世界に、勇気を振り絞って身を投じてみては。

レビュー投稿日
2018年10月17日
読了日
2018年9月15日
本棚登録日
2018年9月15日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『青い脂 (河出文庫)』のレビューをもっとみる

『青い脂 (河出文庫)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。
ツイートする