就職活動が面白いほどうまくいく 確実内定

  • KADOKAWA (2018年12月27日発売)
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感想 : 15
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就活は7-8年前になるが、自らが採用面接をする側に立っていることも踏まえつつ、半ば興味本位で本書を手に取った。
タイトルからは「簡単に内定できる」方法を教えてくれる(だからこそやや詐欺っぽくも聞こえる)ように感じるが、実態は「これだけしっかりやれば通るよ(やんなきゃ通んないよ)」という叱咤激励本といった印象。自分は理系院卒なので、新卒就活では研究という軸があるものしか経験しておらず、その軸がない中での就活とはこんなにも大変なのかと、これから受けるわけでもないのに気が重くなってしまった笑 (なお、理系院卒でも学部卒的な一般面接は存在するため、本書は有用である)
筆者の述べる「就活は攻略法のあるゲーム」というのは真実だと思うので、割り切って本書の内容(端的には「相手に合わせる/相手が望む回答をする」を徹底すること)を実践できれば内定はたくさん取れると思う。他方、この本の基本スタンスは前述の通り「相手に合わせること」なので、内定を取ることと並行して自らの適性を見つめ直すことが極めて重要だと感じた。本書の内容が強力であるがゆえ、本来適性が無い(がステータスたりえるため入りたいと思ってしまう)企業に学生が入ってしまうというケースを誘発しかねないとも感じた。もちろんそういう場合であったとしても、「適性がある会社にも『就活力』不足で落とされた」という状況よりはずっとマシであり、その点において本書の価値が損なわれることは無いとも付言しておく。
一点だけ気になった点としては、GDの解説で触れられるケース面接の解説について、そこでの仮定の置き方が少なくともコンサルのケース面接で求められる水準よりは粗い点であろうか(現職がコンサルファームであり、面接することもある身としての意見)。新卒・GD・非コンサルという点に鑑みれば十分な水準とも思うが、読者にはその点は理解して読むべきかなと思う。

最後に、こういう本が出ることに対するマクロな(=就活生全体及び企業に対する)意味合いについて。私見として、基本的にはプラスであろうと思う。
なぜかというと、
・こういった対策本がなければ内定が取れなかったであろう平均〜やや優秀層が、本書によって内定をとれるようになる
・それは、これまで内定が取れていた「応募企業への適性や志望動機がそこまで強くなかったが、競争相手の『就活力』が低いがために内定を得ていた優秀層」から内定を奪うことによりなされる
・結果として、優秀層に偏在化していた内定が分散化する
という流れを引き起こすのではないかと想像するためだ。内定者が偏在化していると、多くの一般就活生・辞退者が増える企業、いずれにとってもマイナスであるため、それを是正する方向は望ましいのでは、と思う。

以上色々と書いたが、良書であると思う。今後就活をする学生は読んでおいて損はない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年5月6日
読了日 : 2021年5月6日
本棚登録日 : 2021年5月6日

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