この『徒然草―附・現代語訳 』の初版は1952年だが1957年に大幅な改訂が行われた。さらに1993年には安良岡康作先生の著作である角川書店刊『徒然草全注釈(上・下巻)』を参考に編集部による改訂が行われ、これが現行版として出版されている。だから初版からは60年近くを経ているのだが、内容的には比較的新しい作品である。底本には、岩波文庫版の『新訂 徒然草』と同じく烏丸光広校訂本を採用し、さらに正徹自筆本と最古の版本である嵯峨本を参考にしている。
また、角川ソフィア文庫から出ている他の古典シリーズと同じく、原文を前半部分に、後半部分に現代語訳を分けるスタイルをとっている。現代語訳が付いているので、原文の下にある脚注は補訳的な項目が省かれてスッキリとした感じになっている。ちなみに、岩波文庫版は各段の原文の後に注釈を付けているのだが、現代語訳付きではないので、補訳的な内容が多いように感じる。ただ、読みだせば慣れてくるだろうから、あとは好みの問題だろう。
さて、現代語訳だが、個人的好みで判断すると、正直名訳と呼べるものではない。原文を補訳した書き方が多いので、『徒然草』が持つリズムが伝わって来ない。学術的な現代語訳に無理な注文なのかもしれないのだが、他の部分が良いだけに残念。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
『徒然草』&兼好
- 感想投稿日 : 2011年2月17日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年2月16日
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