大極宮 2 (角川文庫 み 28-32)

著者 :
  • KADOKAWA
3.13
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本棚登録 : 119
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784043611058

感想・レビュー・書評

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  • 大沢在昌、宮部みゆき、京極夏彦の3人が所属する「大沢オフィス」(現「ラクーンエージェンシー」)の公式ホームページ「大極宮」のコンテンツ「週刊大極宮」という大沢、宮部、京極3人の近況報告を、本にまとめなおしたもの、第2弾です。

    この2巻から大きく変わった点として、横組になったこと、作家別>日付順だった掲載順が単に日付順>作家順になったことがあります。さらに、各週毎の冒頭に「HEADLINE RUMORS〜風のウワサ〜」として、作家本人が書かなかった近況がまとめられています。いずれも文庫本の紙面をホームページの体裁に寄せる形で変更されています。ちなみに、横書き・左開きの文庫本というのはもしかしたら読むのは初めてかもしれませんが、読んでいるうちに慣れました。

    ただ、どこまで行っても紙に印刷された字を読んでいるのには違いなく、ホームページの雰囲気が出ているとは言い難いこと、「写真館」「まるひの秘書ヒショバナシ」「編集者Sのウラ情報」「ノリノリ編集後記」「アンケートから」などはばっさり切られている一方で、大沢・宮部・京極の3人の対談形式による振り返りが追加されていること、書いているほうも掲載メディアにあわせて意識的に軽薄な筆致にしており、本として読むと違和感が大きいことなどから、やはりホームページで読むのが王道ではないかと思います。
    ですから、わざわざこの本を買うことについては、「まとめて一気に」読みたいとか、モニタ上で大量の文章を読むのは疲れるとか、本という物理的な形にして手元に残したいなどなど、自分のようにはっきりと「ホームページでも読めるけどやっぱり本が欲しい」という意思がないのであればちょっとお勧めしにくいです。

    で、他人様にお勧めは致しかねますが、自分としては宮部みゆきのエッセイをガッツリ読めて大満足です。軽薄な文体とかなりゲームに振った内容に、一瞬だけ失敗作「ここはボツコニアン」がよぎりましたがずいぶん違いました。ゲームに関しても、もちろんそれ以外のことについても真摯に向き合って、感じたことが…何と言うか正直に綴られていて、読んでいて幸せでした。

    とりわけ「幻想水滸伝3」の先行体験記が読み応えありました(ちなみにコナミの幻想水滸伝のページでの公開は終わっているようなので、現在ではこの本以外に読む方法はないということになります)。これ、要はプレイ日記なのですが、RPGのほとんどプロローグ的な部分だけでこんなにたっぷりプレイ日記が書けるとは、やはりプロの作家はただ者ではありません。
    ストーリーに自分の解釈とファンとしての願望を加えて豊富な語彙でまとめたプレイ日記の内容は、そこらへんの、ていうか自分の書いているようなブログのものとは一線も二線も画するものです。
    ただ、内容の半分くらいはプレイヤーの妄想が垂れ流されています。それどころか、「勝手に外伝書いてたりするから」なんてことをさらっと喋ってたりします。

    先行体験記が始まる少し前にはICOのノベライズをすることになったという記述もあり、宮部みゆきの二次創作意欲の旺盛さが伺えます。プロの作家でも二次創作したくなるものなんですねえ。それとも、ゲームって語られていない「余白」が多く、それを埋めたくなるからなんでしょうか。

    もう少し言うと、最近読んだ作品に関する話題が多いのも楽しめた理由の一つです。「本所深川不思議草子」や「初ものがたり」などが原作のドラマ「茂七の事件簿」とか、「模倣犯」とか。

    あと、宮部みゆき以外のお二人について。

    大沢在昌の近況報告はゴルフと酒とダイエットの話ばかり。ほとんど編集者との内輪受けに終始しており、正直面白くありません。ボリュームも少ないし…。

    一方で京極夏彦の近況報告は読み応えがありすぎです。
    まずは著述以外の装丁やらデザインやらの仕事についてよく語られています。本の読者としては、好きな作家であっても小説やエッセイ以外の「仕事」を追うことはそれほど簡単ではありませんが、この本では親切にも京極夏彦自身が自分の仕事をまとめてくれているわけで、熱心なファンだったらありがたい情報なのではないかと思います。

    そして、時たま大長文にぶち当たります。
    本に巻く「帯」に書く推薦文について、「大絶賛」なんて煽るのは無神経だ、って怒ってらっしゃいます。あ、宮部みゆきも「ゲーム脳」について怒ってます。こういう書かれにくいものが文章になって残っているのはWebのいいところですね、きっと。

    ついでに言うと、博識ぶり、好奇心の広がりに巻き込まれそうになります。数回語られている「ウンスンカルタ」とか、ついやってみたくなってきます。

    最後になりましたが、この本って何だか読みにくかったなあと思います。横書きだからではなく…何だろう、どこにピントを合わせておけばいいかわからなかったから、なのかもしれません。どんなに似せてもWebとは別物になるのだから、読みやすさ重視で1巻みたいに編集して欲しかったとちょっと思いました。

    • やまさん
      おはようございます
      やま
      おはようございます
      やま
      2019/11/10
  • 37858

  • 大極宮第2段。 やっぱり面白い。ゆるーく絡み合う三人。全然知らなかった大沢先生も、もう十分にファンに。 エッセイって、作家さん自身の声とか考えが直でわかって楽しい。特に自分は、作家さんがハマってる趣味とか興味あるものに興味があるので、この手の本は大好物。京極先生は相変わらずお化けネタだし、宮部先生はゲームネタが多いけど、ゲームがディープすぎてついていけなかった。 作家推薦だと気になるけど、こんなの書かれたら買うかも? 「試しに今度のおれの新刊に、宮部みゆき、京極夏彦絶賛って入れてみよう(大沢談)」

  • ブログ形式で少し読みにくい。

  • 08040

  • 一巻よりもレイアウトとかがきれいになって、読みやすい。

  • 面白かった。けどゲーム全くわかんなくて、途中の宮部さんのゲーム語りはすっ飛ばして読みました。京極氏はやっぱり金にならない仕事をしている・・・(笑)。
    1巻目は縦書きだったけどこの巻からは横書きになってますね。縦のが読みやすかったんだけど、Web上の再録だからってことで横になったのかな。それぞれコメントがちっさくてこれまた読みにくい。あと話の転換が唐突だった。内容は面白いんだけど。

  • 大爆笑!
    でも前の書式?スタイル?の方が好きだな。

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著者プロフィール

1956年愛知県名古屋市生まれ。慶応義塾大学中退。1979年に小説推理新人賞を「感傷の街角」で受賞しデビュー。1986年「深夜曲馬団」で日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞、1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞長編部門受賞。1994年には『無間人形 新宿鮫IV』直木賞を受賞した。2001年『心では重すぎる』で日本冒険小説協会大賞、2002年『闇先案内人』で日本冒険小説協会大賞を連続受賞。2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞受賞。2010年には日本ミステリー文学大賞受賞。2014年『海と月の迷路』で吉川英治文学賞を受賞、2022年には紫綬褒章を受章した。


「2023年 『悪魔には悪魔を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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