ダイオウイカは知らないでしょう (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2015年2月6日発売)
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感想 : 44
4

西さんの本を読み尽くす。
それが西加奈子ファンである私に課されたミッション。
手に取ったのはそれだけの理由だったけど、「しずく」のせきしろさんの解説がとてつもなく良かったので、内心すごく期待していた。

高校時代、短歌の話を嬉々として話す友人を、「変なやつ〜」と思っていたけど、気持ちがわかった。短歌、おもろい!

西さんの情熱的な歌も良いけれど、せきしろさんのなんとなく哀愁漂う歌が好みでした。
涼しくなってきて、山も色づき始める頃なので、恋人と吟行にでかけたくなった。

毎回異なるゲストが一緒に歌を詠んだり解説したりするのも、次は誰が参加するのか、とワクワク感があって良かった。


以下、お気に入り短歌。

「わたくしあなたを卒業します」 はは、入学させた覚えはないぜ  西加奈子

白骨と煙になるのを待っている 充血した目で飲食物を選びながら  せきしろ

青春は全て別冊マーガレットの中で ただただじっと 過ぎ去るのを待った  せきしろ

「アパートの一階ですよ、若者が激しく愛し合っているのは」  西加奈子

こうやってキミの頭を撫でている この手は二回不法投棄した  せきしろ

兄さんの分まで生きるつもりだぜ 気づいていた俺、長男、二朗  西加奈子

好きではなかったアイドルが死亡した日 知らずに自殺しあとおいと言われる  せきしろ

ご予約の電話かけたら「かあさん?」て聞こえて切った日曜日七時  西加奈子

集会と太極拳と投票日 体育館はきっと不本意  西加奈子

ボールのはねる音が思った以上に大きいからあわてて止めた  せきしろ

フロそうじトイレそうじをする予定 立ち上がりつつマンガ読むかな  星野源

隣の部屋からアラームがきこえる今日もとめない 死んでいるのか  せきしろ

まだ寝れるもう起きようかまだ寝れるか 今こそまさに決断の時  せきしろ

分かってる同じ文面分かってる分かってる分か 年賀状来た  西加奈子

いらっしゃい! 太った? 元気? 腹減った? 寅の娘が笑う食堂  西加奈子

鬼のままチャイムがなった鬼ごっこ再開されずに今でも鬼で  せきしろ

「西さあん」白衣の声はやらかくて扉の前で泣きたなります  西加奈子

シワ加工ツモリチサトにアイロンをかける母髪白くて白くて  西加奈子

葬式が始まる時を待っている 雲ひとつない まだ笑みがある  せきしろ

電話が鳴って死の知らせ テレビから 変なおじさん 変なおじさん  せきしろ

もしもだよもしもの話私がさ 背中から声 時計点滅  せきしろ

僕だって馬鹿じゃないから笑えます ひひひ やはり悲しいから馬鹿  西加奈子

笑いあう夢から覚めてゆっくりと悲しみがくる 顔をしかめる  せきしろ

ミラクルを約束した指切りの 指を洗って 洗って ぬぐう  せきしろ

何回もきき返すのは悪いから一か八かで頷き肯定  せきしろ

銅鑼鳴らす華僑の顔は晴れやかだ 僕は別れを告げられている  西加奈子

自転車のベルを鳴らされすぐ避ける まだ鳴らしてる そういう人か  せきしろ

好きな花聞かれてあの娘迷わずにかすみ草って答えはってん!  西加奈子

日本には四季があるから夏が来る 日傘が少女を黒く守る  せきしろ

あの方が覚悟を決めた瞬間をダイオウイカは知らないでしょう  西加奈子

こういう時泣かない方がモテるのかそれとも逆か5秒で答えて  せきしろ

美しい人が私の本を取り棚に戻した僅か数秒  せきしろ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年9月22日
読了日 : 2022年9月22日
本棚登録日 : 2022年9月22日

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