宗教の根源は死への思考である、と定義づけた上で、儒教を四角四面な礼儀作法の流派みたく考えるのではなく、立派な一つの宗教として捉えるべきだ、というのを説いた本。それが的を得ているかどうかは凡人には知る由もないが、確かになと思う節もある。
日本の仏教には多分に儒教からの影響を受けたとみられる風習が保存されていて、日本人の死に対する姿勢もおのづと儒教的なところが多々あると書いているが、そもそも日本に仏教が伝わったのは朝鮮経由であり、朝鮮は勿論中国から学んだはずなので、そもそも日本に伝わった時点で仏教としては可也混血が進んでナニジンとも見分けの付かない風貌の宗教になっていたに違いないと思う。そう思って読んでいたら最後の章に作者自身そんな感じのことを書いていた。つまり仏教だと思ってとりいれた宗教は実は仏教の皮をかぶった儒教だったというオチ。個人的にも、インドやネパールでみた仏教と日本の仏教の違いがあまりに大きすぎて戸惑った経験があるので、共感できるところが多かった。
この本、に限らず、この作者で残念なのは、話が冗長で同じことを何度もクドクド繰り返すこと。もう少し手を入れて整理すればここまでの分厚さは不要だし、巻末に申し訳程度に載せたとしか思えない図解なんかは関連する各章に挿絵で挿れればいいのにと残念に思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
中公新書 1962
- 感想投稿日 : 2023年7月4日
- 読了日 : 2023年7月10日
- 本棚登録日 : 2023年3月8日
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