これからの本の話をしよう

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本棚登録 : 67
レビュー : 9
著者 :
武藤吐夢@読書などなど・・・さん 専門書   読み終わった 

1992年から、電子書籍事業に従事していたパイオニアの語る電子書籍の歴史と、これからの可能性について。

※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

 2年ほど前から、僕も専用のタブレットを購入し電子書籍を読んでいます。
 先日も、ある映画の原作の漫画を本屋さんで「在庫がありません」と言われ、電子書籍でネットで購入しました。ちなみに、1000円。紙の本なら、送料無料で1080円。
 あえて値段を出したのは、もっと安いように思える電子書籍の値段なのですが、この程度だということを知って貰いたかったからです。
 これは、紙の本のコピーとして出版社が電子書籍を考えているからだと作者は言います。
 なるほど、安くし過ぎると紙の本の売り上げに影響が出るということなのかな。
 
 本書を読んでいると、初期の電子書籍の様子から、今に至るまでがよくわかります。
 最初は、CD-ROMという形式だったようです。
 今のように読み取り用のタブレットがなかった。
 このデバイスの問題がありました。
 本を流通させる電子書店も少なかった。
 機器に対応したコンテンツ。つまり、商品も少なかった。

 そんな中、荻野さんのパートナーのボブ・スタインは、インターネットと本の融合、その可能性を確信していた。
 それまでは、本は個人が楽しむ嗜好物でしたが、ネット社会になり、本を媒介として読者がリンクするようになったのです。それをネットの初期に気づいたのが、ボブ・スタインでした。
 電子書籍には可能性があるとも言っています。

 だが、先ほども述べましたが、日本の電子書籍は、紙の本と一緒です。
 その現状に荻野さんは不満です。
 彼の出版した本を1つ紹介します。
 「小津安二郎の美学ー映画の中の日本」
 この本は、本文の記述に合わせて、映画の相当シーンをリンクさせています。
P218このように見ていくと、小津映画の典型的なラストシーンはシークエンスを見ていくと、代表作の終わりは意図的にあるパターンを持っていた。となります。
 これは、もう、本と映画の融合です。
 他にも荻野さんは、片岡義男の作品の全作品を出版しました。
 公開された100作品を無制限に読める。記念のTシャツ。1口1万円。さらに、特典として、新作小説のメイキングを描いた読み物を読めるという、今までの本1冊こどに売るというやり方を変えようとしました。

 電子書籍にすれば、写真も動画も音楽もリンクさせられる。可能性は無限に広がる。ネットを介して、読者と読者も結び付けられると主張しています。表現形式が劇的に変化するのです。
 だが、出版社は海賊版を恐れて、本文のコピーをできないようにしたり、規制の方向にベクトルを傾けていると嘆いています。

 最後に、ライザ・デイリーの言葉でしめようと思います。
「出版とは人が求める情報を説得的かつ魅力的に提供することです」
 それ以外にはないということです。


ページ数:301
読書時間 6時間
読了日3/5
 

レビュー投稿日
2019年3月5日
読了日
2019年3月5日
本棚登録日
2019年3月5日
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