自分が普段無意識に隠している弱くて、脆い部分を西川流の鋭い言葉のナイフですっと切り取り出され、表に出されているような感覚。登場人物の言葉や心の動きに自分が散在する。自己肯定の念を抱けず、拗らせたおじさん主人公の幸夫。自信がなくて甘えたいのに、その自信のなさゆえに、妻も含めた他者に対して優位を保つことでしか自分の存在価値を見出せない。人と繋がりたい、必要とされたい、支えも欲しい。でも傷つきたくない。私もそう。人がいかに未熟で、みっともなくて、弱くて、だけどいかに愛らしいか、どの登場人物も魅力に満ちている。
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- 感想投稿日 : 2019年1月22日
- 読了日 : 2018年2月1日
- 本棚登録日 : 2019年1月22日
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