イン・ザ・プール (文春文庫)

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レビュー : 2149
著者 :
まんぷくさん  未設定  読み終わった 

読後の満足感が心地よい。直近作「罪の轍」の後なので、こんな作風も引き出しに持つ奥田さんにびっくり。面白かった!

胃腸の不調、無気力などの不定愁訴。
感情を抑制し過ぎるあまりの体とこころの不調。
自分の今が受け入れられず、高みを目指すあまりに現実逃避や妄想に逃げ込む。
人に嫌われたくない。明るく振舞わないと孤立してしまうと恐怖のあまり、交友にしがみつく携帯依存。
自分の感覚や判断に自信が持てず、確認ばかりで生活に支障をきたす強迫性障害。

いかがわしさいっぱいの精神科医伊良部氏と、訪れる患者の短編集。
描きすぎず、余白が醸し出す雰囲気がたまらない。

患者たちはそれぞれ真剣そのもの。伊良部医師との丁々発止のやり取りから、患者たちはそれぞれ自分の轍や呪縛に次第に気づき、解放されていく。

一見、理性や世間、常識から解放されている伊良部氏や看護婦だが、患者に与える知見は深い。
皮肉や風刺めいた言動によって、普段私たちがこうでなくてはならないと雁字搦めになっていることが炙り出る。思わず、くすっと。

私も掃除や家事で、手が抜けない強迫性障害で通院した経験があるので、最後の章は他人事ではなかった。
気になることは仕方がないが、次からはバスの「降ります」ボタンは誰かに押してもらうっと。私がやらなくちゃ!から逃げるんだ!
面白かったあ。

レビュー投稿日
2019年9月27日
読了日
2019年9月27日
本棚登録日
2019年9月24日
4
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