折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー (ハヤカワ文庫 SF リ 5-5)

制作 : ケン・リュウ 
  • 早川書房 (2019年10月3日発売)
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感想 : 72

『鼠年』 感想メモ

・現実なのか妄想なのか判別がつかない
 →信頼できない語り手

・簡潔かつハードボイルド的文体
 『異邦人』を想起させた

・物語世界の全貌を把握できないから、ある意味、読者も「グレートゲーム」に参加している

・人間/鼠の境界が曖昧になる→脱構築的
 人間が野蛮なことをして、鼠が人間的なことをする
→最近読んだ『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』もまた、人間/アンドロイドの区別が曖昧になる

・鬱屈とした世界観→ディストピア的
 人を生産性によって測る恐ろしさ
→ ニートを”国益”のために奉仕させる現代的ディストピア

・先行きの見えない若者が抱える鬱屈とした思い

・遺伝子操作によって生まれたグロテスクな鼠
→ 人が作り出したものを人が処理する虚しさ

・就職難は、現代の中国のことなのか?

・教官は、武勲を上げることで、自らの生を肯定しようとする→WW1やWW2でも、若者は同様のことを言って戦地に赴いた

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感想投稿日 : 2022年10月16日
本棚登録日 : 2022年10月16日

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