他のレビューを書かれている人たち同様に、私もこの作品を『本屋さんのダイアナ』で知って手に取った。
正直、ダイアナの中でのこの本がどういう場面でどういった言葉で出てきたのかもう覚えていないんだけど、あんなにも続きを楽しみにページをめくった作品の中で、この物語をメモしておこうと思ったくらいには心惹かれたたんだろうな、と思った。
そしてその思いに違わぬ素晴らしい作品だった。
訳者あとがきで、「従順という呪いをかけられながら、明るさとユーモアを失わず、自分の意思を押し通そうとするエラは、おとじばなしのお姫さまというより“自分らしくあること”がますますむずかしくなっている今の時代のヒロインだと思います。」という一文がまさにこの作品を端的にあらわしているものだった。
個人的には、最後シャー(王子)への愛が結果としてそれまでのどんな場面よりも大きな力となって呪いを打ち破った点は、恋愛至上主義の表れに思えてしまってそこだけが本当に少しだけ寂しかった。人を愛することはもちろん素晴らしいことだし、「シンデレラの物語を描こうとした」作者からすると決まっていた流れだったんだろうけれど、もう一歩、破って欲しかった壁でもあった。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年1月30日
- 読了日 : 2023年1月30日
- 本棚登録日 : 2023年1月21日
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