船玉さま 怪談を書く怪談 (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2022年2月22日発売)
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本棚登録 : 161
感想 : 11
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ある怪談を書こうとすると、何かしらの異変が起こることがある。それは些細であるが、実害があってどこか不気味なものだ。そんなことは今まで多く体験してきたが、どうしたって、なれっこない。やっぱりどうにも恐ろしいのだ。

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怪談界隈では有名な加門七海さんの単著。アンソロジー形式の本で一話二話は読んだことがあるのだが、加門七海さんのが書き上げた一冊を読むのは初めて。表紙を飾るなんとも不気味な女性のイラストにひかれて購入。 帯にある、容赦なく恐ろしい実体験!
と書いてあるが、腹の底にぐぅっとくるような怖い話はなく、怖いがそれよりも不思議な雰囲気をまとった話で構成されていた。

収集した実話怪談を多少校正して収録している怪談集とはちょっと違う様子。いつも端的に書かれている文章に慣れているせいか、少し詩的な文章でなかなか入り込めなかった。加えて日本の文化的な蘊蓄話が多く、着物の知識や髪結いの知識がさっぱりである残念な私では脳裏に幽霊の像が鮮やかに結べなかった。(調べてもあんまりぴんと来なかった私の脳みそが残念過ぎる)
単純に怖い話が読みたい!というときは不向きだが、独特な、まるで怪異など特別なことでなく、日常で起った有様である、という雰囲気は好ましい。

私の知識がないせいで、読んでいる内容のほとんどがちんぷんかんぷんであった所為で、各話に明確な感想を書けないことが申し訳ないが、考えれば考えるほど陳腐な言葉しか出てこずこの作品の面白さを伝えきれないので、いつものような読了ツイートは難しそう。それでもやっぱり、お気に入りの話はいくつかあったので、タイトルだけでも!

怖かったなと思った話は「船玉さま」、「誘蛾灯」。

「船玉さま」は得体のしれない何かが日常に入り込んでくる気味の悪さを感じる話。
「誘蛾灯」は作中で一番怖かった。静かにであるが、着実にやってくる恐ろしい何者か達に鳥肌が立った。
加門七海さんはこういう作風なのだろうか。いろいろな不思議な実体験を垣間見れるのは面白いが、その面白さを100%にするためには私の知識があまりに足りない。この著者の本はまだ何冊か所持しているので、次こそは100%楽しんでやる!


あと、先ほどは記さなかったが「とある三味線弾きのこと」も味わいのある話だった。一番好きだったのはこの話だ。 なんというか物悲しい様な、切ない様な……。哀愁の漂う話であった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(ホラー、怪奇、怪談)
感想投稿日 : 2022年4月4日
読了日 : 2022年3月31日
本棚登録日 : 2022年4月4日

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