閻魔あいのに届いた6つの依頼。そのどれもが、同じ中学校の生徒からの依頼だった。憎い相手を地獄に送ってもらう代わりに、死後自分も地獄に落ち永遠に苦しむ。その代償を払ってまで成し遂げたい程の恨みではないと、三藁たちは訝しむ……。「闇に惑いし、哀れな影よ。人を傷つけ、貶めて。罪に溺るる業の魂 ーーイッペン、死ンデミル?」の台詞で有名な、地獄少女の小説。アニメ、漫画と色々な媒体を通して見たが、藁人形という日本古来の呪術をうまく現代に溶け込ませている面白い作品。五寸釘を藁人形に打ち込むのではなく、藁人形の首に巻き付けられた赤い紐を解くことで、恨む相手の魂を地獄に流す。それで、その復讐は成し遂げられるが、昔から言うように「人を呪わば穴二つ」。死後自分の魂も地獄に落ち、永遠に苦しむという代償を背負う。 一時的な感情で遂行される復讐劇ではなく、自分も地獄に落ちると知った後、自分の魂を賭けてまで行う価値があるのかと葛藤する様がいかにも人間らしく非常に良い。その様が魅力的な作品であったため、この小説に収録されている2話目「地獄少女VS黒魔女」は途中まで「こんなに簡単に復讐が遂行されるものなのか」少し驚いて読んでいた。 しかし、徐々に読み進めてみると、なるほどそういうことかと納得。地獄少女を利用してパワーアップを目論む魔女。仏教や東洋の呪術と西洋の超自然的な話がいろいろ融合して面白かった。 余談であるが、いつも涼しい顔をしてる「一目連」が黒魔女にしてやられたのは、ちょっとにやっとした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
児童書(ホラー、怪奇、怪談)
- 感想投稿日 : 2020年9月22日
- 読了日 : 2020年1月14日
- 本棚登録日 : 2020年9月22日
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