脱資本主義宣言―グローバル経済が蝕む暮らし

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本棚登録 : 178
レビュー : 21
著者 :
Keiichiro Oeさん 哲学   読み終わった 

中学生の頃、わたしにとっての「ヒーロー」は、本書の著者である鶴見済氏を置いてほかにいませんでした。書店でひさびさに著者の名前を見て、すぐに買って読んでみた次第です。

タイトルにある通り、資本主義のあり方に疑問を投げかけ、例を挙げれば原発や「ナイキ公園」への反対を表明するという、ある意味で分かりやすい本です。

もちろん最初は「鶴見さんも変わったなぁ」と思いました。近年のブログでは、以前の著者が持っていた独特の脱力感が失われ、妙にポジティブな主張を繰り返していましたし、本書もはっきり言ってしまえば、期待に応えてくれるおもしろい内容ではありません。世界から「降りる」ことを目指していた著者が、改めて世界に挑みかかろうとしている。残念ながらもはやついていけない。

しかし、「おわりに」(P.211~)において、ようやくあの懐かしい感じが戻ってきます。"カネを使わないほうが楽に生きられる、とは言えない。むしろ一般的には、何でも買って済ませたほうが楽だとされている。けれどもこうしたほうが、何と言うか、生きることに興味が湧いてくる"(P.213)

わたしはこの「生きることに興味が湧いてくる」というフレーズから、なんともいえないもやもやっとした、でもとても温かなポジティブ感を頂くことができました。わが教祖は健在です。

本書を手に取られる方がどのような方なのか、わたしはよくイメージができません。ただ、もしも以前「鶴見信者」だったという方がいらっしゃれば、ぜひとも「おわりに」から先に読んで、改めて本編を読み直していただくことをおすすめします。本書の凡庸な主張も、きっと見え方が変わってくると思います。

(2014/3/24)

レビュー投稿日
2014年3月18日
読了日
2014年3月18日
本棚登録日
2014年3月18日
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