新・現代思想講義 ナショナリズムは悪なのか (NHK出版新書)

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レビュー : 29
著者 :
Erdnuss Fabrik GmbHさん 哲学   読み終わった 

哲学者・萱野稔人氏によるナショナリズム論。

著者の立場はある意味で明確すぎるほど明確です。ナショナリズムのなかにとどまって、厳密に議論をしようというスタンス。何があったのか知りませんが、とにかく「ナショナリズム=悪」を前提にする論客への苛立ちみたいなものが、ひしひしと伝わってきます。

一方、本書で扱われているフィールドは案外広く、議論も込み入っていて、なかなか読みごたえがありました。特にB.アンダーソンの『想像の共同体』に関するところは一読の価値があると思います。「しょせん国家なんて想像の産物なのだ!」という感じの、よくある誤解を解きほぐしてくれます。

"国民国家とネーションはまったく次元の異なるものだ。アンダーソンはあくまでもネーションについて「想像の共同体」だと論じたのであって、国民国家についてではない。国民国家とは国家のひとつの形態であり、ネーションが存在しないところにも国家は存在する。(…)ネーション(国民・民族)は人間集団の一つの単位であり、ナショナリズムはその単位が政治的な単位(つまり国家)と一致すべきだとする政治的原理である。そして国民国家(ネーション・ステイト)は、その人間集団の単位にもとづいて成立する、国家の一つの形態である"(P.55)

後半はフーコーとかドゥルーズ=ガタリとか、いわゆる現代思想のメインキャラクターがどんどん登場してきて、それぞれのナショナリズムに関する議論を分かりやすく噛み砕いています。このあたりは学生さん向けかもしれない。

自分自身は最近こういう政治哲学っぽい議論への興味がなくなってしまって、本書もひさしぶりに読み返してみたのですがいまいちピンと来ませんでした。確かおもしろい本だったはずなのですが。

レビュー投稿日
2015年5月31日
読了日
2015年5月31日
本棚登録日
2013年5月20日
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