リスクは金なり 新版 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2016年2月25日発売)
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本棚登録 : 91
感想 : 9
4

常にエネルギッシュで目的意識を持って生きる著者の体験談は、やはり真に迫るものがある。
メディアを通さず自分の耳目で世界に触れることが重要だと、言ってはいないが、言外の説得力があった。
あと、どの分野のどのポジションにいようが、やっぱり英語はできた方が良さそう。

イランやトルコなど現地での生活は、非西側諸国に対して我々が持っているある種の偏見や無知を吹き飛ばしてくれる。
ただし、そこで感慨を感じて終わりではなく、政治や経済、人々の文化や生活はどうなっているのかを見聞きしてリサーチする。そして文章に落とし込む。
この一連のレベルが高く、非常に読み応えがあった。

景色の描写が実に巧みで、読んでいて興味が湧いた。現地に行ってみたい気持ちを喚起する著作だった。
著者が出会ってきた人の中には、思いがけず今生の別れとなってしまった人もいるようで、その記述はどこか哀愁を湛えるものだった。

純文学のような奥ゆかしさはないが、著者のドライでハードなビジネスマンの側面と、人と真剣に向き合ってきた故の人間味の両方が溢れるものであった。

最後、原発のトピックが浮いている感じがした。その前でオチがついているような気がしたが。新版で加筆された部分?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月4日
読了日 : 2022年12月4日
本棚登録日 : 2022年12月4日

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