望み (角川文庫)

  • KADOKAWA (2019年4月24日発売)
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感想 : 354
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雫井脩介さんの「望み」、初読みの作家さん。非常に重厚で難解なテーマの作品だった。

自分の高校生の息子が失踪し、高校生同士の殺人事件に関与している事が発覚する。
息子は被害者なのか?加害者なのか?
親はその重い心情を胸中に抱えながら事件の進展と同時に希望を張り巡らす。

この作品の核なのがこの「希望」の部分で、当然家族としては息子が殺されているとは考えたくない。そうなると逃亡している加害者になってしまう。
逆で加害者ではないとすると被害者として殺されてしまっている事になる。
どちらを「望む」か?
それを終始問いかけられている。

そしてこれは究極の2択の選択になるのかもしれないが、そうなる前に手を打つべきだと考える。
中高生では先の展開や近い未来が見えず、大きな過ちを犯してしまう事も容易に考えられる。
「道徳」や「現代社会」「朝礼」「ホームルーム」等の学校、授業、もしくは家庭内でも注意喚起も含め啓発し考えさせておくべきだと感じる。自分のせいで親や家族の立場や境遇が変わる可能性、自分の今後の人生、罪そのものにもきちんと事前に向き合わせておく。
そうする事で事件はゼロにはならないだろうが、少なからず数件の予防策にはなるのではないか?

今の自分でも答えの出ないこの「望み」の核の部分。
深く難解な事だけれど、とても深刻で大事な事だ。
そして「望む」ならばこういう事がないこと、それに尽きる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月19日
読了日 : 2024年2月19日
本棚登録日 : 2024年2月14日

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