久し振りの本格派の極道物の作品。
主人公は関東最大のヤクザ組織の内部に潜り込んだ警察官、兼高。
映画「インファナルアフェア」を彷彿させる物語でとても面白い作品だった。
グロすぎる描写や悲痛が伝わってくる場面や状況が凄く多く、読んでいるだけなのに自分まで呻き声をあげそうになる。
途轍もない殺人や拷問が繰り広げられ、そのバイオレンスが凄すぎる。
この作品の凄い所は警察もヤクザも両方を外道として描いている所。どちらか一方からの作品は数多く読んできたが、両者が外道で非道な作品はあまりないのでは?と思う。それを圧倒的なバイオレンスで描ききっている。
主人公兼高のどの道も外道になっていくその過程もとても苦しくて奥深い。
正義がなんなのか?その正体も正義の形をしてない物ばかり。どの道も精神的には地獄への道。サブタイトルの「地獄の犬たち」ピッタリと当てはまる。
兼高が極道組織内の人情味溢れる結束力の方に惹かれていくのも分かる気がした。現に同じ潜入捜査官だった十朱が七代目会長になったのも頷ける。
兼高も十朱の道を歩むのだろうと思っていた。
だが彼は最終的に両者を敵に回すという人生の選択をとる。彼なりの後悔、反省、そして新たな正義が生まれたからだろうと推測。
凄く収まりのあるラストだと感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年1月16日
- 読了日 : 2024年1月16日
- 本棚登録日 : 2024年1月11日
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