カズオ・イシグロ、好きな作家ベスト3に入れさせていただきます。
そもそもSFが好き。
しかし最初の方はSFと思わず読み始めた。
AI、人間の遺伝子操作が当たり前になっている近未来の生活。だけど、主人公たちの棲まうところは、太陽が地平線に沈むところが見られるような草原の中だったり、自然の情景が描かれるから近未来を感じさせなかったり。
始終落ち着いたトーンの語り口で、ハラハラドキドキをあおってこない。それなのに終盤はハラハラドキドキさせられる。静かだからこそ、ひたひたと迫ってくる悲しい結末が胸に迫る。
カズオイシグロってのは、すごい人だ。
科学技術は本当にひとを幸せにするのだろうか。
と同時に、感情を持つAIの悲しみに私たちが感情移入する。こうなったAIには人権を与えるべきではないの。不必要になったら廃棄物として扱うのはひどいのではないの。
そう考え始めたら、感情がないと今私が思い込んでいるいろいろなモノだって、捨てたらいけないんじゃない?
もったいないオバケの付喪神を思い出したりして。
カズオイシグロの本はもっと読むことにした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年3月20日
- 読了日 : 2023年3月20日
- 本棚登録日 : 2023年3月20日
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