クララとお日さま

  • 早川書房 (2021年3月2日発売)
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本棚登録 : 520
感想 : 93
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カズオ・イシグロ、好きな作家ベスト3に入れさせていただきます。

そもそもSFが好き。
しかし最初の方はSFと思わず読み始めた。
AI、人間の遺伝子操作が当たり前になっている近未来の生活。だけど、主人公たちの棲まうところは、太陽が地平線に沈むところが見られるような草原の中だったり、自然の情景が描かれるから近未来を感じさせなかったり。
始終落ち着いたトーンの語り口で、ハラハラドキドキをあおってこない。それなのに終盤はハラハラドキドキさせられる。静かだからこそ、ひたひたと迫ってくる悲しい結末が胸に迫る。

カズオイシグロってのは、すごい人だ。

科学技術は本当にひとを幸せにするのだろうか。
と同時に、感情を持つAIの悲しみに私たちが感情移入する。こうなったAIには人権を与えるべきではないの。不必要になったら廃棄物として扱うのはひどいのではないの。
そう考え始めたら、感情がないと今私が思い込んでいるいろいろなモノだって、捨てたらいけないんじゃない?
もったいないオバケの付喪神を思い出したりして。

カズオイシグロの本はもっと読むことにした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年3月20日
読了日 : 2023年3月20日
本棚登録日 : 2023年3月20日

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