街路樹が都市をつくる: 東京五輪マラソンコースを歩いて

  • 岩波書店 (2019年4月25日発売)
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感想 : 6

自然の少ない都市において、街路樹の効果がこんなにもあったとは驚き。
①二酸化炭素の吸収、酸素の放出
②街路樹だけでなく雑草など多くの植物、そこに生息する動物や、それを分解する動物や微生物を育成する場所として
③防風、防塵
④雨水など水の流れの調整(雨水が集中するのを防ぐ、地面の表面流下の減少、土はね・雨滴浸食を防ぐ、雨水の浸透のよい土壌を作る、蒸発・蒸散効果で温度を下げる)
⑤緑陰をもたらす、微気象で涼しさを作り出す
⑥車道の脅威を和らげ、歩行者は安心して歩道を歩くことができる
⑦車の走行景観がよくなり、引きつけられるものが少なくなるため、前方を注視しやすい
⑧車のヘッドライトを遮る
⑨遮音効果、防火効果、輻射熱も遮断
⑩木が大きいほど人の心拍数が低く、目の動きがゆっくりになる→リラックス状態にある
さらには、街路樹の美は、樹木自体がもつ自然美に人の慈しみが加わって、情緒豊かな風景美を作っているとあるが、その通りだと思う。
街路樹ではないが、近くの公園の木(杉、その他いろいろ)が軒並み切り倒されたことがあり、木のある風景が心を和ませてくれていたのだと、そのとき初めて気がついた。

街路樹に関する問題点についても言及されているが、わたしたちが関心を持つことによって改善できることもあることがわかった。
またこれは樹木に関する他の本を読んでも思ったが、樹木は人間よりよっぽど長寿で、長期的な目で見ることが求められるのだと痛感させられた。

メインのマラソンコースの街路樹の見立てはすごいの一言。専門家はこういう視点で見るのかとつくづく驚嘆させられる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月17日
読了日 : 2022年3月17日
本棚登録日 : 2022年3月17日

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