苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

  • ダイヤモンド社 (2019年4月12日発売)
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いや~これは面白かった。志のある全てのビジネスパーソンにオススメできる作品です。タラレバの叶わぬ願いですが、この本に20代の頃に出会っていれば私の人生も変わっていたかもしれません。少し大げさか(笑

著者の森岡さんは、ジリ貧のユニバーサルスタジオジャパンを総合戦略やマーケティングで短期間の内にV字回復させた立役者です。まさにスーパービジネスマン!

私は、USJの復活の過程を大阪で過ごしていました。大阪に赴任したときにはUSJなんて気にも止めず、さしたる興味をもっていませんでした。が、数年後には元旦を家族でUSJで過ごすまでにハマってしまいました。休日は人気があり過ぎて人だらけ。元旦は意外にすいているとリサーチまでしたんですよ。今思えば私も完全に森岡さんの策略にはめられた一人ということですね(笑

以前からUSJを人気テーマパークに復活させた中途入社のプロがいたということはメディアなどで聞きかじって知っていましたが、実際どのような方なのかは、本書で初めて知りました。そんなスーパービジネスマンが、就職活動を控え自分の人生の進路に思い悩んでいるであろう娘に書き連ねたメッセージが本書のベースとなっています。

自らの人生経験を赤裸々に伝えてくれつつ、将来や仕事のことを考える際の「考え方(フレームワーク)」を教えてくれています。

以下印象に残った内容を記しておきます。
・現実を見極め正しい選択をすることで人は目的に近づく、重要なのは現実を生み出している構造を明らかにすること。
・自分のなかに軸をもつ。軸とは基準となるもの。複数もありうる。
・人生において自らコントロール可能な変数は、1己の特徴の理解、2それを磨く努力、3環境の選択 の3つのみ。
・強い人間は、環境に合わせて自分を変えるか、自分に合わせて環境を変えるか、そのどちらかができる。

その他にも大変興味深い考え方を教えてもらいましたが、やはり感動したのは、本書のタイトルにもなっている第5章ですね。まさに森岡さんの苦しかったときのはなし。ネタバレになりますので控えますが読み進めつつ大きな共感を禁じえませんでしたね。

日本は今や弱い国になってしまいました。経済大国、今は昔。ビックマック指数というのがありますが日本は33位の約400円、27位韓国が440円で、1位スイスは倍804円。日本はグアテマラとほぼ同額です。この事実をどれだけの日本人が認識しているでしょうか。

本書はそんな経済ジリ貧の日本復活の処方箋が描かれています。日本人よもっとしたたかに強くなれ、そんなメッセージをこの作品から受け取りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2022年11月26日
読了日 : 2022年11月20日
本棚登録日 : 2022年11月14日

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コメント 2件

傍らに珈琲を。さんのコメント
2022/11/27

TAKAHIROさん、こんにちは!

この本は読んでいないのですが、森岡さんはテレビのインタビュー番組、密着番組で釘付けになりました。
その時にまず、どんな年代の方にもまっすぐ真摯に向き合う姿勢が素晴らしいと思いました。
相手がまだとても若くて、投げ掛ける質問でさえ未熟であったとしても、その姿勢は変わりませんでした。
それにユーモアもある。
ターゲットの掲げ方も具体的で、そのターゲットに対してどのようにアプローチしていけば良いかも明確。
そしてその熱量。
テレビ番組を通してでしたが、こちらも何かに掻き立てられるような思いでした。

仕事をしていると、森岡さんレベルではないにしろ、似たような方と稀にお会いできる時があります。
その方とお話しているだけで、私ももっと出来るんじゃないか、そうだ、こうしてみよう、ああしてみよう、とモチベーションを上げてくれる人。
曖昧だった目標が明確になってきて、頭の中がクリアになるような人。
そんな方に出会えた時は、チャンスを狙って度々お話をさせて頂きました。

森岡さんのお話って、へ~すごいな~で終わらずに、森岡さんの話を読んだり聞いたりした人間まで動かす力があると思うので、本当に凄いですね。
自分ももっとこうしてみよう!って、延いては自分自身の事も今より好きになれそうな気さえします。

TAKAHIROさんのコメント
2022/12/03

傍らに珈琲を。さん

コメントありがとうございます!
森岡さんて、けっこうテレビに出てるんですね。知りませんでした。興味あるので私もユーチューブか何かでチェックしてみます。

本の印象ではとにかく熱いヒトですね。働いて思うのですが、今の時代の若者(Z世代などと言われてます)はこういう熱さや一生懸命さなんかが前面に出て
しまうと敬遠されると感じてます。
私なんかは単純なのですぐ感化されるのですが(笑)

傍らに珈琲を。さんさが見た森岡さんの印象から推測するのですが、心に熱さを秘めつつも、暑苦しさが表に出ていない真摯さを演出し自らをブランディングされているのかなと、非常にクレバーな方ですね。

ところで、傍らに珈琲を。さんのコメントの最後の言葉がら印象的でした。
私も自分自身の事をもっと好きになれるようになりたいです。自己肯定感てめちゃくちゃ大事ですよね。やりすぎるとナルシストですが(笑 では

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