東京の西側郊外を流れる野川を中心とした物語。関東の地図を開いてみてください、東京と神奈川の境を西の奥多摩から東京湾に向けて、東西に多摩川が流れています。野川は西東京を流れる多摩川の支流。
多摩川の周辺にはそれとは気づきづらいのですが、何段かの河岸段丘が残ります。東京側の野川の向こうには”はけ”という地形が残る段丘が広がり、周辺には武蔵野台地に浸み込んだ湧水が野川に流れ込んでいきます。
物語の随所に自転車で走り回った地域が出てきますので、大変馴染みを覚えます。調布飛行場、東京天文台、東京外語大学、まだ緑の多く残る地域です。私のホームタウンは多摩川を渡った逆側の段丘、多摩丘陵です。
長野まゆみさんの作品は初めてでしたが、皆さんの書評を見ると少し異なる雰囲気の作品なのですね。学校の課題図書ということで、深い伏線もなく素直にサラリとした文章でした。
家庭の出来事も深く入り込まず、少年の心の中にも踏み込まなかったのは少し残念。あくまでも平静な感情が続きます。雨の日の父親との心の交流部分が唯一高まりを感じた部分。野川と周辺の風景が強く印象に残る作品でした。
参考) 本棚にもあります
・東京の自然史 貝塚爽平 中央公論文庫
・追い風ライダー 米津一成
・ぼくらは夜にしか会わなかった 市川拓司
・耳を澄ませば スタジオジブリ
・だれかのまなざし 新海誠・和紗
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2013年10月30日
- 読了日 : 2013年10月30日
- 本棚登録日 : 2013年10月26日
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