震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2008年4月4日発売)
3.46
  • (137)
  • (367)
  • (497)
  • (96)
  • (15)
本棚登録 : 3185
感想 : 277
4

『震度ゼロ』

テンポ  ★★★
犯行動機 ★★★★
意外性  ★★★★★

【読み終えて】
横山秀夫さんの作品は「64」「半落ち」含めて複数冊です。事件発生から解決までいくつか山があること、そう緊迫した流れが病みつきになり、読み続ける作家さんとなりました。

震度ゼロは、過去読了の作品と比較してテンポはゆったりです。全体の8割を終えて、ようやく事件全体の概要(容疑者、動機)が見えてくるという構成です。
一方で、この容疑者に意外性があり、かつ動機が筋が通っている構成です。

横山作品をじっくり読みたい方、また、警察内部の権力関係をテーマにした作品が好きな方はぜひに・・・です。

【物語】
阪神淡路大震災が発生した当日、一つの県警本部では事件が発生していました。
それは、無断欠勤がない課長が行方不明になっているというものです。
調査を進める中で、課長の自家用車が隣町で発見されました。

自家用車からは、課長、課長の妻、そして第三者/女性の毛髪が採取されます。
また、近くのガソリンスタンドでは、女性が運転する車に課長が同席している姿が目撃されれています。

事件なのか?事故なのか?それとも課長は戻ってくるのか?

【横山さんらしい作品】
今回の作品は、課長の失踪事件の解明自体よりも、その解明に務める本部長、部長クラス複数名の関係性がテーマとなっています。

ずばり、自身がさらに階級を上げるための名誉、実績そして保身です。
そのために、取得した情報を自身が仕切る部門にのみ集約させる、会議で開示をしないという状況が多発します。
それが影響し、本部長そして部長クラスが互いに疑心暗鬼になり、事件の真相究明にたどり着かない状況となります。

しかし、部長クラスのなかに1名だけ「目的」、警察組織で言えば「法律」「正義」を忘却しない人間がいました。
彼の会議での進言により、事件は真相に向けて動き出します。

【読者レビューを観察して】
警察内部の保身、名誉が交錯する作品です。そのことに嫌悪を覚えた感想が拝見できます。

たしかに作品を通じてその事象を観察できます。
一方で、横山さんは、最後のページ、ラストシーンで今後の展開を読者にゆだねる「余地」を残します。
警察という組織が、そのまま法律・正義を放棄し、崩壊の道をたどるのか?
もしくは、留まり、本来の役割・責務を果たすのか?

読者泣かせなラストシーンかもしれませんね!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年9月10日
読了日 : 2023年9月10日
本棚登録日 : 2023年9月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする