『傷を愛せるか』宮地尚子氏
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<本書より>※一部、内容を省略をしているものもあります。
「弱さを克服するのではなく、弱さを抱えたまま強くある可能性を求めつづける必要がある。」
「エンパワメント」は人がもっている力をよみがえらせること。外から与えるものではない。
「傷ある風景から逃れることも、傷ある風景を抹消することもできる。でも、傷を負った、傷を負わせた自分からは逃れることはできない。」
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【A;購読動機】
自分自身の状態を定期的にスクリーニングしています。そんな折に「タイトル」と「装丁」をみて購読を決めました。装丁が「淡い。でも深い。」」印象を受けたため。そう、一言では言い表せない心の状態と近しかったため。
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【B;本書】
トラウマ、ジェンダー論を研究しながら、精神科医も務める著者のエッセーです。医師としての「こうしなさい」というメッセージがないのが良いです。著者自身の留学、医師としての日常、ご両親のことなどを記述しています。
読者側で、著者の暮らしや考え方を通じて、自由に考える余地に出会える書です。
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【C;読み終えて】
肉体の傷と心の傷。同じ傷でも処方の仕方は違います。前者は時間軸とともに治る傾向が強いに対して、後者は時間軸とともに改善するとは限りません。
タイトルの「傷」は、後者の「こころの傷」を指します。
自分の傷を愛せるか?の前に、「自分の傷を恐れずに見ていますか?受け入れていますか?そのうえで、無理をしなくてもいい。ただ、見ているだけで、待つだけでもいい。」というメッセージに出会いました。
- 感想投稿日 : 2023年9月30日
- 読了日 : 2023年9月30日
- 本棚登録日 : 2022年10月17日
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