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震災後の不思議な話 三陸の<怪談>【増補文庫版】
- 宇田川敬介
- 飛鳥新社 / 2020年1月30日発売
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全体のボリュームに対して聴き取った話の割合が少ないのが残念でした。巻末の話から聞き取ったメモ自体は結構な量がありそうだったのに惜しいです。
2020年7月23日
Twitterで流れてきたツイートで知り、図書館から借りてきた。四半世紀も前の本で大変傷んでいるが、それだけ沢山の人に借りられたのかも。
著者の作品を読むのはもしかしたら総門谷以来かもしれない。30年程前、入学した学校で与えられたロッカーの中から、前の使用者の置き土産として現れたのだった。とても面白く読んだのにその後続けて著者のほかの作品を読まなかったのは、その頃乱歩と横溝を読破するのに忙しかったからだろう。
表題作含め七篇の短編小説が収録されている。幻想的な怖さの作品から、だんだん現実的な怖さの作品になるような並びに感じた。
怪談好きとしては「おそれ」の枕にあたる部分が楽しい。
台詞ばかり続くシーンではちょっとわかりにくくなる時があるが話はどれも楽しめた。
個人的に一番怖いと思ったのは、一番最後に収録されていた「奇縁」だった。
2019年10月21日
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ほぼ日の怪談。 (ほぼ日文庫)
- ほぼ日刊イトイ新聞
- ほぼ日 / 2018年8月7日発売
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ほぼ日に掲載された実話投稿の選り抜き本。元の記事はネット上にあるので、興味のある方はまずそちらで雰囲気を確認することもできます。
全体に物凄く怖いという話は少ないけれど、実際にあったことを一般の方が投稿したものと考えればこのくらいが普通のような気がします。
(たまたまかもしれませんが、自分が体験者から聞いた実話怪談は現象的なものが殆どなので、具体的におどろおどろしいような体験は比率的に少ないのではないかと想像してます。)
体験者の、もしくは体験者から直に聞いた人の話を10年以上こつこつと集めているということ自体が素晴らしい。これからも引き続き、貴重な記録を収集し続けて欲しい。また、体験者はぜひ、こういう所に記録を残していただきたいものです。
2019年5月3日
同著者の「戦前の怪談」を先日読んだが、それと被らずに他にもこれ程話を集めたのかと思うと頭が下がる。
とにかく沢山の話が時代や場所を取り混ぜて収録されているが、何となく似た題材のものは続けて並べるようにしてあるようだ。
怪談と言っても人を怖がらせる為に書いたのではなく、実際おこった事を記録したもの。
自分は「天井からぶらさがる足」のような現象系の話が好みだが、この本には幽霊が出た話も狐が化かす話も因縁話も収録されている。
著者の出身の為か、東京から西寄りの話が多い。
有名な、大蔵省の将門塚の話や泉鏡花等が参加した怪談会の話も入っていた。
2019年4月27日
若い頃、著者の河出書房版「日本の怪談」が読みたくて方々の本屋や古本屋を巡ったがついに出会う機会を得なかった。今考えてみれば図書館ででも借りれば良かったのかもしれないが、当時はどうしても蔵書として手に入れたかったんである。
そんな事をしていたから、結局永い年月を経た今頃にようやく田中貢太郎の怪談と相見えている始末。
この本には長い話短い話が取り混ぜて収められている。短い話は聞き書きっぽいテイストが多く、長い話は聞いた話なのか創作なのか判然としない筆致だ。どちらかといえば短い話の方がシンプルに面白い。
しかし、長い話は往時の文化が端々から読み取られて、別の意味で色々な発見があり面白い。この本は戦前の話というくくりになっているが、それが昭和初期なのか大正なのか、もしかして明治なのか判然としないところがある。いつなのかはわからないが、都市生活者は結構夜遅い時間にも出かけて親戚の家に顔を出しているような描写があったりして、昔の人の意外に自由な暮らしぶりに目からウロコが落ちるなど、怪談的内容以外にも得るものの多い読書体験をした。
2019年3月4日
怖いお話を国内から7つ海外から6つ選んだ短編集。巻末に編者による怖いお話も収められている。
M.R.ジェイムズを取り上げているだけで自分的には高評価なのだが、あまり読む機会が無かった国内作品の面白いものに触れることができたのが良かった。
ずっと気にしていながらちゃんと読んでいなかった田中貢太郎や、今回初めて知った宇江敏勝の作品を読んでみようと思う。
2019年2月2日
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山の怪奇・百物語 (シリーズ山と民俗)
- 山村民俗の会
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あとがきで、百物語の趣向を行なったとしているが、怪談を期待する本ではない。山中や山村での怪異譚が主である。様々な書き手によるので、読み易いもの、そうでもないものが混在しているが概ね興味深い。そんな本なので読み進むのに少し手間取った。
割と心に残ったのは、岩田英彬氏の「京都北山奇噺」。都に近い山の話のせいか、他の話と若干違う趣を感じた。
2018年11月30日
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山怪 山人が語る不思議な話
- 田中康弘
- 山と渓谷社 / 2015年6月6日発売
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著者が足で集めた話の数々を贅沢に素材の味そのまま卓に供したといった風情が味わい深い。
物語を読んで怖がりたい人には向かない一冊。
以前に祖母から聞いた、よく前後のなりゆきが解らない出来事の話などを思い出す。
また、読んでいる間にふと、祖母が亡くなった後に誰も鳴らさないのに呼び鈴が鳴ったことなども思い出した。
2018年10月9日
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鬼火・底のぬけた柄杓 (講談社文芸文庫)
- 吉屋信子
- 講談社 / 2003年3月10日発売
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先頃読んで面白かった、ちくま文庫文豪怪談傑作選の「吉屋信子集 生霊」の巻末に、この本に収録されているから敢えて採らなかった作品があるというような記述があったので買った。なので、「生霊」と被っている作品はこちらでは読んでいない。
こちらに収録の怪談めいた作品も面白かったが、俳人を題材にした作品が思いの外面白かった。文章や作者の気持ちがとてもしっくりきて読み易い。
巻末の年譜は、著者の体験を基にした風な作品を読む際にありがたかった。
2012年2月23日