あなたがもし残酷な100人の村の村人だと知ったら

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  • 経済界 (2015年11月10日発売)
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感想 : 38
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借りたもの。

前半は日本の現状、残酷な数字が物凄い勢いで上がっている統計のまとめ。
読んでいて気になるのは、この数字がどう、お互いに影響し合っているのかがわかりにくい。(でもきっと、相関性があるんだろうな……)

後半はライフスタイル、特に「お金」に関して特化した哲学だった。
曰く、そもそもお金は資本であって、資本ではない。
本来は自己が最大の資本、それを活かして繋ぐべき人間関係、そのためにあくまで使うものがお金だった。

まとめとして、前半の残酷な数字の原因は、“お金の力”にあるという。
利子によって、増殖しはじめるお金。
この機能を享受できるのは、お金を余分に持ち、貯めこんだ者だけだ。
そして、格差が生じる。
金から紙幣へ、そしてインターネットを介して電子化した「お金」。それが生み出すマネーゲームが、昨今の国の対立に影響していることを仄めかす。それはまるで、世界大戦のような様相を帯びているようだった。

それをいかに打開するか――提言として、未来の格好いいお金持ちの在り方とは、「所有志向」の否定だった。
こう書くと矛盾しているようだが、必要以上の所有するために借金をつくるリスク。未来のスマートなライフスタイルとして、ミニマリストな生き方を推奨している感じがある。

「老化するお金」ヴェルグルの奇跡と呼ばれた循環型経済への情景。
それをもう少し書いてほしかったが、それこそ著者が挙げるエンデの本『はてしない物語』のように「けれどもこれは別の物語、いつかまた、別のときにはなすことにしよう」なのかも知れない。

この“ヴェルグルの奇跡”、私が初めて知ったのは、夏目祭子『知られざる最強の創造エネルギー なぜ性の真実『セクシャルパワー』は封印され続けるのか』( http://booklog.jp/item/1/490502742X )だった。
所有ではなく循環するもの――それが本来、人を豊かにする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済 / お金
感想投稿日 : 2016年11月11日
読了日 : 2016年11月11日
本棚登録日 : 2016年10月30日

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