女性ホルモンは賢い: 感情・行動・愛・選択を導く「隠れた知性」

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レビュー : 7
亜綺羅さん 医学 / 薬学   読み終わった 

ブクログ献本企画ありがとうございます!!
通俗的に「女性ホルモンの影響」と、女性身体に起るあらゆる事象をひっくるめていたメタ・データを、生物学的、進化論的な視点から紐解いていく試み。
著者曰く「新たなダーウィン的フェミニズム」という。

女性の悩み、気分障害の原因として女性ホルモンを語る本は数多あれど、生物学的な進化の視点から見た本はこの本が初めてではないだろうか?

「女性ホルモンの影響」という言葉だけで、本能を超えたのが人間なのに退化したあるいは女性が男性に劣っているという意味か(女性差別か!)という反論がある。
そうではなく、生物の進化、その延長にある人間という存在が、どのようなホルモン影響の進化を遂げ、社会生活を築いたかを紐解いてゆく。
俗説に科学的な裏付けをもって、検証・反証をしてゆく。

生物として無視できないホルモンの影響。
他の生物におけるホルモンの作用と、人間のホルモンの作用を比較して、進化の中で戦略として引き継がれているものと、人間は時にそれに依拠しない行動をとることを示してゆく。
それは女性が、ひいては男性も含めて人間が、「ホルモンによる本能を、人間は動物とは違い理性で抑えている」という通俗説を否定するものではないだろうか?

欲を言えば、この本の中での「女性ホルモン」とは、エストロゲンなのか、プロゲステロンなのか、読んでいてどちらか影響しているのか混乱する。そのあたりをもっと明確にしても良かったのではないか?

そして女性ホルモンの影響は、年齢と共に変化もする。
人間の発情期はあるのか?大半の哺乳類にある周期的な発情期を持たない「理由」は?そこに端を発し、ホルモンの影響は周期を持ちながら、実に戦略的な理由があって行われている可能性があった。
セックスをし、子供を産み、育てる――
女性にとって悩ましくもあるこの事象の負担の大きさ。
それ故に女性は異性を戦略的に選ぶように、ホルモンが作用している。
「良い遺伝子を残す」ために、健康的な男性(イケメンマッチョ、セクシー)を求める一方で「子を育てる」ために、育児に参加できる協調性のある男性を求める……

女性の複雑な人生設計ゆえに、女性ホルモンが複雑な作用することを示していた。

内容は生物学的・社会文化的な分野に及ぶ。
同時に、フェミニズム運動の問題点にも切り込んでゆく。
男女平等を声高に叫んだは良いが、男女の“違い”を否定しまったこと。

最近、薬学の分野でも、男女で服薬の影響に差がでてきている事が注目されている。この本でも、雌マウスを使った場合、女性ホルモンの影響による個体差を「雑音」として省いていたことにも起因することを指摘していた。
この本で度々言及されている通り、「まだ研究ははじまったばかり」であり、不明な点が多い。
女性ホルモンを知れば知るほど、実は男性ホルモンの事もよくわかっていないことが仄めかされる。

レビュー投稿日
2020年5月26日
読了日
2020年5月26日
本棚登録日
2020年5月20日
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