私見だが、この巻で作品自体のカラーがある程度決まったと思う。この作者のキャリアから推測していた陰鬱で現実に即した観念的なものの見方を提示するという方向性ではなく、作者から観たリアリティのようなものを提示している。その世界観において、現実に起こりうるモラルに反した行為や現象を描くと言う点では以前と変わらないが、以前のようにネガティブな描き方をされず、あくまで日常レベルの温度で表現される。病的な感情は日常においてなんら目新しいことではなくそれを抱えるのは当然という表現だ。そして、今までの作品ならある程度アピールしていた葛藤をほとんど描かない。その点で、作者の提示する世界観は前作より一歩前へ踏み出している
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カテゴリ:
漫画
- 感想投稿日 : 2005年2月12日
- 本棚登録日 : 2005年2月12日
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