王とサーカス (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2018年8月30日発売)
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メディアの役割とは何なのだろうか。
「情報を伝える」・「真実を暴く」など多くの側面があるけれど、その裏に潜む恐ろしい面を感じた一冊だった。
この話の肝は、国の内乱に巻き込まれても真実を暴く人々と「報道」の名を借りた「娯楽」に振り回されていく人々との価値観の違いがこれでもかと描写されていてとても面白かった。報道への姿勢やその向こうに見えるもの、そして報道を嫌うラジェスワルの言葉や自問自答を繰り返しによって得た答えはそれで終わるものではなくこれからもアップデートされていくものだと思う。
そして、途中まで純粋だったと思っていたサガル君がまさか死体損壊をいとわないほどにまでやばい人だとは思わなかった。彼が太刀洗に叫んだ言葉はとても苦しいものであり、この言葉はいろんな人の心に残れば良いなぁと思いました。
個々に出てきた登場人物達がその後どのような人生を送っているのかが分からないのがその後の物語を想像させて、彼らのサイドストーリーも読みたいと思いました。

この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
太刀洗万智:茅野愛衣
サガル:高山みなみ
八津田源信:大塚明夫
ロブ・フォックスウェル:下野紘
シュクマル:石川界人
チャメリ:湯屋敦子
牧野太一:平田広明
チーフ:津田健次郎
バラン:諏訪部順一
チャンドラ:古川慎
ゴビン:田村睦心
ラジェスワル:杉田智和

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー小説
感想投稿日 : 2022年5月4日
読了日 : 2022年5月4日
本棚登録日 : 2020年11月3日

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